尾池 和夫
2004年3月23日の修士学位授与式では、2032名の方に学位を授与しました。今回初めて修士の学位を授与することになった分野は、地球環境学舎の分野です。2002年、平成14年4月19日金曜日に、私が式辞を述べたということもあって、感慨深いものでした。その日、実は、長尾 真総長は、国立大学協会の会長として、国大協の臨時総会を開催しており、そこで国立大学法人化の方向へ向かうことになったのです。
同じく、3月23日の博士学位授与式では、580名の京都大学博士が誕生しました。博士学位を授与された中で、生命科学の分野と、社会健康医学の分野の博士学位は、京都大学として初めて授与したものであります。
翌、3月24日の卒業式では、2913名の学士を送り出しました。式辞では、文化を大切にするということ、人に優しい人であるということ、法を守るということの大切さを話し、市民の側に立って物事を考え、市民の側に立った仕事をする人であってほしいとメッセージを送りました。
今年度になり、2つの研究所が発足しました。東南アジア研究所と生存圏研究所です。新年度の学部の入学予定者は2987名、修士の入学は2268名、博士後期の入学は1013名、法科大学院には205名が入学予定です。その中で、新しくできた医学部保健学科には145名が入学します。
3月30日、最後の評議会を開催し、最後の将来構想検討委員会を行い、部局長会議を開きました。31日には、過半数代表者と使用者側の代表との協議が、就業規則と労使協定について、22時過ぎまで行われ、労使協定の調印がなされました。
4月1日に国立大学法人京都大学が設置され、それが京都大学を設置しました。役員をはじめ多数の方々に辞令を交付し、職員の方たちには、学生を大切にするというメッセージを送り、失敗をおそれず、よく考えて信じるところを実行してくださいと、公務員でなくなる意味を強調しました。そして、役員会を開いて、諸規定の議案を諮り、教育研究評議会を開催しました。教育研究評議会では、京都大学という名は、歴史的に見て、3つ目になるということを述べて、挨拶しました。
そして、今日、第1回の経営協議会を開きます。委員のみなさまには、これから国立大学法人京都大学の大いなる発展のために、知恵を絞っていただいて、経営に関する重要な事柄などをご審議いただきたく存じます。
文部科学大臣談話「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の発足にあたって」では、「文部科学省としては、新たに発足した社団法人国立大学協会とも協力しつつ、制度の円滑な定着に向けた支援等を行うとともに、必要な予算の確保をはじめ、国としての責任を果たしてまいります」とありますので、これを一つのよりどころとして、日本の国がせめて欧米先進国なみに教育のための予算を支出するよう、働きかけていきたいと思います。みなさま方もぜひ、単に京都大学のためだけでなく、日本の高等教育のためにご尽力いただきたく、よろしくお願い致しまして、私の挨拶といたします。