アクション・プラン(2009年度~2013年度)

京都大学男女共同参画推進アクション・プラン

本プランの理念

本学は、「高い倫理性に支えられた「自由の学風」を標榜しつつ、学問の源流を支える研究を重視するとともに、先端的・独創的な研究を推進して、世界最高水準の研究拠点としての機能を高め、社会の各分野において指導的な立場に立ち、重要な働きをすることができる人材を育成する」ことをその将来像としています。

基礎的研究の充実をさらに図り、先端的・独創的な研究を発展させ、指導的な立場に立つ人材を育成していくためには、年齢・性別・国籍の違いを超えて、異なる知識や経験・背景をもつ多様な人材が集い、常に新たな視点が提起され、その質が高められるような環境が不可欠です。

多様性こそが今後の教育・研究の活力の源泉であるとの信念の下、男女共同参画を推進し、女性教職員や女子学生を含めた多様な人材がいきいきと活躍できる環境を構築するため、本アクション・プランを策定し、実行するものです。

これまでの取り組み

本学では、これまで「京都大学における男女共同参画の基本理念・基本方針」(平成18年3月)に基づき、男女共同参画を推進してきました。

平成17年10月に設置された男女共同参画企画推進委員会では、平成19年10月に「京都大学男女共同参画推進アクション・プランに向けて(提言)」を公表し、アクション・プランに盛り込むべき内容を取りまとめた。また、男女共同参画企画推進委員会の後継組織として平成20年1月に設置された男女共同参画推進室では、平成20年3月に「男女共同参画の推進に向けて-第1期中期計画期間中の事業-」を提示しています。

一方、平成18年9月には、文部科学省科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」に採択されたことを契機として「京都大学女性研究者支援センター」が設立された。同センターは女性研究者の育成に努め、本学におけるよりよい教育研究・就労環境を提供するための種々の支援事業を展開してきています。

制度面では、子の小学校3学年の終期まで、育児短時間勤務や育児部分休業・早出遅出勤務を可能にしたり、男性教職員を対象に、配偶者の出産に伴う特別休暇や配偶者の産前産後休暇中に子の養育のための特別休暇を取得できるようにする等、育児支援制度の充実を図ってきました。また、平成21年4月からは、職員の一日の勤務時間が15分短縮されることとなっています。

以上の本プランの理念およびこれまでの取組を踏まえ、本学における男女共同参画の一層の実現を図るため、平成21年度からの5年間について、本アクション・プランを推進します。

1. 男女共同参画の視点に立った教育・研究および就業の確立

<主に教職員対象>

  1. 役員、部局執行部、全学委員会等の大学の意志決定組織におけるジェンダー・バランスに配慮し、女性比率を高めるよう努める。【本部、各部局】
  2. 各部局は、教員・研究員の採用・昇任の際に、女性であることのみを理由とした不利益な評価がなされていないかどうかについて、確認を行う。【各部局】
  3. 職員の採用・昇任については、優れた能力・技術等を有する有為な人材を選考する中で、積極的に女性職員の採用・昇任を進める。
    幹部職員は、女性職員の昇任に配慮し、積極的に登用面接の受験を勧めるとともに、育成につとめる。
    10年後(2019年)までに、女性比率を少なくとも専門職員25%、専門員15%、課長・事務長以上10%とすることを目指す。【総務部】
  4. 女性職員の昇任促進を目指して、職員間のメンター制度を設け、研修会を開催する。【総務部】

<主に学生・次世代研究者対象>

5. 都大学優秀女性研究者賞(たちばな賞)による若手女性研究者の顕彰など、その育成に資する取組を継続する。【研究推進部、女性研究者支援センター】
6. 女性研究者・女子学生への教育研究支援制度を拡充・周知する。【研究推進部、女性研究者支援センター、学生部】
7. 女性研究者による次世代女性研究者へのメンター制度や交流を推進する。【女性研究者支援センター】
8. 女子学生・女子留学生が入居できる寮を充実する。【学生部、学生センター】

<施設・環境の改善と整備>

9. 女子トイレ、洗面所、休憩室等の施設・設備の設置・改善や、夜間照明設備の整備を図る。【施設環境部、各部局】
10. 学内の夜間巡回警備を強化する。【契約・資産事務センター、各部局】

2. 教育・研究および就業と家庭生活の両立支援

<主に教職員対象>

  1. 病児保育制度、待機乳児保育制度及び児童送迎制度を継続して実施する。【総務部、女性研究者支援センター、医学部附属病院】
  2. 実験研究補助者制度を継続し、拡充する。【女性研究者支援センター】
  3. 次世代育成支援対策推進法に基づき、次期「次世代育成支援対策にかかる京都大学における行動計画」を策定し、推進する。【総務部、各部局、男女共同参画推進室】
  4. 男女ともに育児・介護休業や短時間勤務制度を取得しやすい環境整備を行う。【総務部、各部局】
  5. 職員の適切な勤務時間管理により、超過勤務を縮減する。【総務部】
  6. ITC等を活用し、休業中の教職員に対する情報提供体制を整備する。【総務部、情報環境部】
  7. 性差に配慮した健診等の充実による健康管理を行う。【環境安全衛生部、保健管理センター】

<主に学生対象>

8.学生に対して育児・介護支援の情報を周知し、窓口での相談体制を充実する。【女性研究者支援センター、学生センター】

3. 男女共同参画に資する教育・学習・研究の充実

  1. ジェンダー関連科目の開講状況を学生および部局に周知する。【教育推進部、女性研究者支援センター】
  2. 学内外のジェンダー研究者のネットワークを構築し、男女共同参画やジェンダーについての体系的な教育の仕組みを整備するとともに、全学共通教育におけるジェンダー関連科目を充実する。【女性研究者支援センター、各関係部局】
  3. 女子学生の卒業後の進路に関するキャリアガイダンスを充実する。【キャリアサポートセンター】
  4. 女性研究者の増加を目指し、女子高校生を対象としたセミナーやフォーラム等を開催する。【女性研究者支援センター】
  5. 本学のジュニアキャンパス、公開講座等において、ジェンダー関連講座を設ける。【女性研究者支援センター、企画部、教育推進部】

4. ハラスメントに関する啓発活動並びに敏感な対応と迅速な解決

  1. 各種ハラスメント対策に関する情報提供を行い、ハラスメントの防止・対策に努める。【人権委員会、法務・人権推進室、総務部、各部局】
  2. ハラスメント問題について安心して相談でき、適切な助言・指導が受けられる体制の充実を図る。【カウンセリングセンター、法務・人権推進室、総務部、各部局】
  3. ハラスメントに対する迅速かつ公正な対応のための制度を整備するとともに、その周知を徹底する。【人権委員会、法務・人権推進室、総務部、各部局】

5. 教職員・学生への啓発活動の推進

  1. 教職員に対する育児・介護支援のための休業・休暇制度等の広報を充実する。【総務部、女性研究者支援センター】
  2. 教職員の育児・介護制度の利用状況を調査し、部局別に公表する。【総務部】
  3. 幹部教職員を対象とした育児・介護支援制度の利用促進のための研修会等を実施する。【総務部】
  4. 男女共同参画についてのセミナーやシンポジウム等を開催する。【男女共同参画推進室、女性研究者支援センター】
  5. 本学の男女共同参画推進のための取組について報告書を発行し、啓発活動に資するとともに、学外に対しても本学の取組を公表する。【男女共同参画推進室、女性研究者支援センター】

6. 国・地方自治体、企業や市民セクターとの連携

  1. 国、京都府、京都市の男女共同参画担当部局と連携し、情報交換に努める。【男女共同参画推進室、女性研究者支援センター】
  2. 企業、NPO・NGO等の組織の取組と連携し、情報交換に努める。【男女共同参画推進室、女性研究者支援センター】

7. 国際的および国内における連携の促進

  1. 女性研究者支援事業を推進している全国の大学・研究機関との連携のもとに、情報交換に努める。【男女共同参画推進室、女性研究者支援センター】
  2. 男女共同参画を推進する大学間の交流を、シンポジウムの開催などを通じて国際的に推進する。【男女共同参画推進室、女性研究者支援センター】

8. 男女共同参画推進体制の整備

  1. 本アクション・プランを計画的に実施していくために、年度毎に重点的に取り組むテーマを設定して推進する。
    21年度は、教職員・学生への啓発活動の推進(5.関連)を重点テーマとし、以後は前年度の進捗状況を考慮して設定する。【男女共同参画推進室】
  2. 女性研究者支援センターは、男女共同参画推進室と密に連携をとり、これまで実施してきた事業を可能な限り継続していく。【女性研究者支援センター、男女共同参画推進室】
  3. 男女共同参画推進室は、各担当部署が提言の実現に取り組むよう、様式を定めて毎年度報告を求め、フォローアップを行う。【男女共同参画推進室】

【 】内は主たる担当部署