2020年5月15日に、吉野彰 先生(旭化成株式会社名誉フェロー、名城大学特別栄誉教授等)に、京都大学名誉博士称号を授与しました。
京都大学では(1)本学における教育研究に寄与した功績が顕著であると認められる者、(2)学術文化に寄与した功績が特に顕著であり、本学において顕彰することが適当と認められる者には、名誉博士の称号を授与することができるとしています。
今回、吉野先生については、学術文化に寄与した功績が特に顕著であり、本学工学部を卒業、工学研究科修士課程を修了され、優れた研究成果を残されていることから、本学において顕彰することが適当と認め、名誉博士の称号を授与しました。
吉野彰 先生のコメント
このたび、京都大学名誉博士の称号をいただき大変光栄に感じております。私は1972年に京都大学工学研究科修士課程を修了後、産業界の研究者として過ごしてきました。私の2019年のノーベル化学賞の受賞が母校の栄誉に貢献できたことも誇りに思っております。
山極壽一 総長の挨拶
このたび、ノーベル化学賞の栄誉を受けられた吉野彰先生に、京都大学名誉博士の称号を授与することを大変うれしく、そして光栄に思います。京都大学は1897年の建学以来、「自重自敬」、「自得自発」を基本精神とし、対話に基づく自由の学風によって多くの独創性に満ちた学問領域を切り開いてまいりました。吉野先生が京都大学工学研究科の修士課程で学んだ経験が、長い探究の道の上に、リチウムイオン電池の開発に結晶したことは、この建学の精神が息づいてきた証であると思います。リチウムイオン電池は私たちが日常的に使う電子機器に欠かせない部品となり、バッテリーとして縦横無尽の機能を発揮するようになりました。また、地球環境にやさしい持続可能なクリーンエネルギーにおいて、重要かつ信頼のおける部品となることが期待されています。科学の大きな発見を成し遂げるのは、自然の不思議に対する飽くなき探求心と、失敗を恐れず未知の領域に踏み込む勇気と不屈の闘志であることを、吉野先生は身をもって示してくれました。また、その能力を涵養するには幅広い教養と基礎研究が不可欠であることも、吉野先生の歩んでこられた足跡から学ぶことができます。それは京都大学の誇りであり、未来永劫にわたって京都大学に学ぶ人々の光となり続けることでしょう。吉野先生のご業績を模範とし、今後もこの精神に基づき、創造的な学聞の育成を目指して歩んでいく所存です。 まことにおめでとうございます。
関連リンク
- ノーベル化学賞の受賞が決定した吉野彰 先生が、山極壽一 総長を訪問されました。(2019年11月15日)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja//ja/news/2019-11-15-0 - 京都大学広報誌「紅萌」巻頭対談「壁にぶつかり乗り越えるたびゴールは近づく」
https://wwws.kyoto-u.ac.jp/kurenai/202003/taidan/index.html - ノーベル賞
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/history/honor/award_b/nobel.html - 京都大学名誉博士
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/history/honorary_doctor.html