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連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」のシリーズ33は、「京都大学の女性リーダーたち」をテーマに「京都アカデミアフォーラム」in丸の内で開催しました。
シリーズ33の第3回は、「タイで生きる・老いる・ケアするということ -フィールドワークから考える-」と題し、速水洋子 東南アジア地域研究研究所長が講演を行いました。
速水研究所長は、東南アジア地域研究研究所の概要を説明した後、フィールド調査地であるタイ北部チェンマイ県に位置するカレン族の村での生活やケアについて、実際の写真を用いて紹介しました。最初に、高齢化とケアの担い手について、タイは平均寿命男性71.8歳、女性79.8歳の高齢化社会であり、タイの高齢者ケアは、第一に自助努力、第二に家族、第三にコミュニティ、最後に国家の順で行われるべきとされていると解説しました。次に、フィールドワークで得た家族介護やボランティアによる訪問介護、国立の高齢者擁護施設などの利用者への聞き取りや施設での様子の写真を交え、タイ北部チェンマイ県の高齢者ケアの実情について解説を行いました。最後は、「他国の実例を知ることは私たちの今を顧みるための道しるべにもなる」と述べ、講演を締めくくりました。
講演後は、参加者による積極的な質疑応答が繰り広げられ、来場者からは「現場の生の声を拝聴でき、「ケアされること」について客観的に考えることができました」、「タイとの比較によって、日本の高齢化問題を考え直そうと思いました」などの感想が寄せられました。
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