ウオノエ科寄生虫サヨリヤドリムシがクロダイ稚魚に寄生する方法―宿主の摂餌行動を利用した「ルアーフィッシング」戦略―

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 藤田大樹 フィールド科学教育研究センター日本学術振興会特別研究員(PD)、下村通誉 同教授、河合賢太郎 広島大学助教、海野徹也 同教授らの研究グループは、ウオノエ科寄生虫サヨリヤドリムシがタイ科魚類クロダイの稚魚に寄生する際、宿主の摂餌行動を利用して取りついていることを明らかにしました。

 サヨリヤドリムシはサヨリ(稚魚と成魚)やクロダイ稚魚などの鰓腔への寄生が確認されている寄生性等脚類で、日本で最も頻繁に目撃されるウオノエ類の一つです。ウオノエ類の成体雌は子ども(マンカ)を海水中に放出し、マンカが自由遊泳して宿主となる魚類を探すとされていましたが、ウオノエ類がどのように宿主を見つけて寄生するのかについてはほとんど分かっていませんでした。本研究の結果、クロダイ稚魚がサヨリヤドリムシのマンカを餌と間違えて食べようとした瞬間に、マンカがクロダイ稚魚にとりついていることが分かりました。マンカはクロダイ稚魚の顔などにとりついた後、少しずつ移動して最終的には鰓に寄生しました。この寄生方法は、まるで寄生虫がルアーフィッシングをして宿主を確保しているようです。

 本研究成果は、2025年3月17日に、国際学術誌「International Journal for Parasitology: Parasites and Wildlife」にオンライン掲載されました。

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サヨリヤドリムシのマンカがクロダイ稚魚に寄生する際の概略図
研究者のコメント

「クロダイ稚魚がサヨリヤドリムシを食べようとしているのではないか、という仮説は私が学生のころから持っていました。仮説の実証にこぎつけることができてうれしく思います。」

研究者情報
研究者名
藤田 大樹
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.ijppaw.2025.101057

【書誌情報】
Hiroki Fujita, Kentaro Kawai, Michitaka Shimomura, Tetsuya Umino (2025). “Lure fishing” strategies by Mothocya parvostis (Isopoda: Cymothoidae): feeding behavior-mediated infestation of juveniles of black sea bream, Acanthopagrus schlegelii. International Journal for Parasitology: Parasites and Wildlife, 101057.