ターゲット
公開日
高宮幸一 複合原子力科学研究所教授、越川七星 早稲田大学博士後期課程学生、片岡淳 同教授、豊嶋厚史 大阪大学教授、角永悠一郎 同特任助教、加藤弘樹 同特任教授らの研究チームは、薬剤キャリアである金ナノ粒子を直接可視化する「放射化イメージング」を提案し、実際に金ナノ粒子をマウスに投与して体内分布を可視化しました。
また、腫瘍をピンポイントで攻撃するアルファ線治療薬アスタチンAt-211を、放射化金ナノ粒子に標識することにも成功しました。これにより、これまで困難であったAt-211の長期的な動態追跡を実現しました。今後は様々な治療薬で、動態可視化への応用が期待されます。
本研究成果は、2025年3月12日に、国際学術誌「Applied Physics Letters」にオンライン掲載され、同誌の「Featured Article」に選ばれました。

研究者のコメント
「本研究では、原子を中性子放射化して可視化する『放射化イメージング』によって、これまで困難だったAt-211(治療薬)と金ナノ粒子(薬剤キャリア)の独立なイメージング、そしてAt-211標識金ナノ粒子の長期動態イメージングに成功しました。これまでイメージングできなかった様々な治療薬が同様の方法でイメージングできると考えており、汎用的な薬物動態のイメージング手法となり得ます。また、金ナノ粒子の放射化イメージングは薬物送達に適したサイズ・形状の金ナノマテリアルを開発するうえでも重要な役割を果たすと考えています。効果的ながん治療の実現に向け、放射化イメージングが幅広い技術の発展に寄与することを期待しています。」研究者情報
研究者名
髙宮 幸一
書誌情報
【DOI】
https://doi.org/10.1063/5.0251048
【書誌情報】
N. Koshikawa, Y. Kikuchi, K. S. Tanaka, K. Tokoi, A. Mitsukai, H. Aoto, Y. Kadonaga, A. Toyoshima, H. Kato, K. Ooe, K. Takamiya, J. Kataoka (2025). Activation imaging of gold nanoparticles for versatile drug visualization: An in vivo demonstration. Applied Physics Letters, 126, 10, 103702.
関連部局