熱性けいれんは、欧米と比較して日本人に多い疾患です。多くはけいれん発作が数分内にとどまる単純型であり、発作そのものが成長発達に影響を及ぼすことはないと考えられていますが、発作が長引いてけいれん重積状態となった場合の遠隔予後はこれまでの研究では明らかになっていませんでした。
この度、菅健敬 医学部附属病院特定病院助教、吉田健司 同助教、滝田順子 同教授、川上浩司 医学研究科教授、竹内正人 同客員研究員(兼:静岡社会健康医学大学院大学教授)らの研究グループは、過去最大規模となる38,465人の熱性けいれん患者のレセプトデータを用い、けいれんが重積した場合としなかった場合で、その後のてんかんや発達障害の発症リスクが上昇するかを検証しました。その結果、てんかんの発症リスクは高まる一方、発達障害のリスクに有意な差はないことが明らかになりました。
本研究成果は、熱性けいれん診療における重要な知見であり、重積発作を起こした子どもに対する適切な対応の必要性を示しています。
本研究成果は、2025年1月27日に、国際学術誌「Annals of Neurology」にオンライン掲載されました。

【DOI】
https://doi.org/10.1002/ana.27192
【書誌情報】
Takenori Suga, Takeshi Yoshida, Atsushi Yokoyama, Yotaro Hanami, Kazushige Ashina, Natsumi Nakamura, Koji Kawakami, Junko Takita, Masato Takeuchi (2025). Prolonged Febrile Seizure and Long-Term Neurological Sequelae in Otherwise Healthy Children. Annals of Neurology.