カルボン酸基をもつトリポッド型分子3CATAT-C3の開発

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 若宮淳志 化学研究所教授、チョン・ミンアン 同助教らの研究グループは、山田琢允 同特定助教、金光義彦 同特任教授、吉田弘幸 千葉大学教授、浅原千鶴 株式会社東レリサーチセンター博士らとの共同研究成果として、ペロブスカイト太陽電池において、ペロブスカイト層から効率的に正孔を取り出す単分子膜材料として、カルボン酸基をもつトリポッド型分子(3CATAT-C3)を開発しました。従来の正孔回収単分子膜材料に比べて、3CATAT-C3の単分子膜は濡れ性が高く、その上にペロブスカイト層を容易に均一に塗布成膜することが可能になりました。また、この3CATAT-C3はペロブスカイト前駆体溶液に混ぜ込んで同時に成膜する「共堆積法」でも高性能なペロブスカイト太陽電池を作製でき、23.1%の光電変換効率を達成するとともに、高い耐久性を実現しました。この光吸収層と共堆積可能な正孔回収単分子膜材料の開発により、ペロブスカイト太陽電池の製造工程数が削減でき、製造の低コスト化も可能になります。

 本研究成果は、2025年1月10日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載されました。

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本研究の分子設計コンセプト:カルボン酸をもつトリポッド型3CATAT-C3の分子構造
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1021/jacs.4c15857

【書誌情報】
Minh Anh Truong, Tsukasa Funasaki, Yuta Adachi, Shota Hira, Tiancheng Tan, Aruto Akatsuka, Takumi Yamada, Yasuko Iwasaki, Yuko Matsushige, Ryuji Kaneko, Chizuru Asahara, Tomoya Nakamura, Richard Murdey, Hiroyuki Yoshida, Yoshihiko Kanemitsu, Atsushi Wakamiya (2025). Molecular Design of Hole-Collecting Materials for Co-Deposition Processed Perovskite Solar Cells: A Tripodal Triazatruxene Derivative with Carboxylic Acid Groups. Journal of the American Chemical Society.

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