桝田崇一郎 医学研究科客員研究員、深澤俊貴 同特定講師、川上浩司 同教授、松田秀一 同教授の研究グループは、透析患者の骨粗鬆症に対するデノスマブはビスホスホネートと比較して、骨折リスクを低減させる一方で、心血管イベントのリスクを増加させる可能性があることを、電子レセプトデータを用いたコホート研究により明らかにしました。
透析が必要な末期腎不全患者では、骨粗鬆症加療のエビデンスが不足しています。デノスマブは腎排泄に頼らないため、末期腎不全患者にも使用されていますが、有効性並びに安全性を他の骨粗鬆症薬と比較した大規模研究はこれまでありませんでした。本研究では、電子レセプトデータを使用し、透析患者を対象にデノスマブの有効性並びに安全性をビスホスホネートと比較しました。その結果、デノスマブはビスホスホネートに比べ、骨折リスクを45%低減させる一方、心血管リスクを36%増加させる可能性が示されました。本研究は、透析が必要な末期腎不全患者に対して、デノスマブが骨折予防に有効である一方、心血管リスク増加の懸念があることを明らかにしました。
本研究成果は、2025年1月7日に、国際学術誌「Annals of Internal Medicine」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.7326/ANNALS-24-03237
【書誌情報】
Soichiro Masuda, Toshiki Fukasawa, Shuichi Matsuda, Koji Kawakami (2025). Cardiovascular Safety and Fracture Prevention Effectiveness of Denosumab Versus Oral Bisphosphonates in Patients Receiving Dialysis: A Target Trial Emulation. Annals of Internal Medicine.