檀浦正子 農学研究科教授、平野恭弘 名古屋大学准教授、谷川東子 同准教授らの研究グループは、福知山公立大学、兵庫県立農林水産技術総合センター(森林林業技術センター)、兵庫県立大学との共同研究で、海岸に生育するクロマツの根系は土壌環境に適応して成長し、樹高が高くなるほど根が深くなることを新たに明らかにしました。
国内の海岸には、強風や海塩、津波に対する強さからクロマツが植栽されてきました。根が深いほど樹木は倒れにくく、津波や強風に対する減災機能も向上します。海岸林の減災機能を評価する指標として、根の最大深さを推定することが必要となります。
本研究では、海岸に生育するクロマツ根系を掘り取り、土壌環境と根の最大深さを測定しました。また掘り取り直後のデジタル画像から根系三次元構造の再現を可能としました。その結果、根の最大深さは、土壌環境に適応し、樹高が高くなるほど深くなることを明らかにしました。この結果は国内で掘り取られたクロマツの根の最大深さと樹高との関係性でも確認されました。本結果の応用として、樹高成長の悪いクロマツについて、根を深く誘導する森林管理を行うことで、減災機能の高い海岸林再生への応用が期待されます。
本研究成果は、2024年11月27日に、国際学術誌「Journal of Forest Research」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1080/13416979.2024.2431756
【書誌情報】
Yasuhiro Hirano, Chikage Todo, Toko Tanikawa, Keitaro Yamase, Mizue Ohashi, Masako Dannoura, Yuki Okamoto, Ryuusei Doi, Gen Yoshida, Hidetoshi Ikeno (2024). Intraspecific variation in root system structure in a Pinus thunbergii stand grown in a gravelly spit coast. Journal of Forest Research.