マイクロプラスチックが海洋生態系を変える?―マイクロプラスチック浸出液がマツバガイの捕食者回避に与える影響―

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 中野智之 フィールド科学教育研究センター准教授とLaurent Seuront フランス・リール大学(Université de Lille)教授の共同研究グループは、マイクロプラスチックが海産巻貝類マツバガイの捕食者を検知する能力を著しく低下させることを明らかにしました。マツバガイは外套触角を通して、捕食者である肉食性巻貝類のイボニシやシマレイシダマシの使用する酸を科学的に検知して防御行動を取ると考えられていますが、マイクロプラスチックに曝した海水に浸した場合、捕食者の接近を検知することができなくなりました。また実験に使用したポリプロピレン(polypropylene(PP))、ポリエチレン(polyethylene(PE))、ポリアミド(polyamide(PA))と生分解性プラスチックであるポリ乳酸(polylactic acid(PLA))のうち、特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドの影響は大きいが、ポリ乳酸の影響は若干小さいことも分かりました。

 本研究成果は、2024年11月5日に、国際学術誌「Publications of the Seto Marine Biological Laboratory」にオンライン掲載されました。

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野外でシマレイシダマシに囲まれるマツバガイ(左)と貝殻を持ち上げて必死に身を守るマツバガイ(右)
研究者のコメント
「これまで高校生対象の臨海実習において、マツバガイの防御反応の観察実験を行ってきました。マイクロプラスチックがマツバガイの捕食者の探知能力を低減させるかもとふと思いつきでやった実験でしたが、実際に実験をやってみるまで、ここまでマイクロプラスチックの影響が大きいと思っていませんでした。海洋へのプラスチックの流出についてしっかり対応していく必要があります。」(中野智之)
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