やせ型糖尿病モデルハムスターを開発—やせ型糖尿病の発症機構の解明や治療法開発に貢献—

ターゲット
公開日

 村上隆亮 医学研究科助教、稲垣暢也 名誉教授、廣瀬美智子 理化学研究所テクニカルスタッフⅡ、小倉淳郎 同室長、田村勝 同室長らの共同研究グループは、ハムスターの遺伝子を改変することにより、やせ型糖尿病モデル動物の開発に成功しました。

 本研究成果は、やせ型糖尿病の発症機構の解明や治療法の開発に用いられることが期待されます。

 今回、共同研究グループは、糖質や脂質の代謝がヒトに類似しているといわれているゴールデンハムスターを用いて、卵管内ゲノム編集法(i-GONAD法)により糖尿病の原因遺伝子の一つであるIRS2(インスリン受容体基質タンパク質2)遺伝子を働かないようにすることで、やせ型糖尿病モデルハムスターの開発に成功しました。日本の糖尿病患者数は予備軍を含めて推計2,000万人以上といわれており、その多くは東アジア特有のやせ型糖尿病です。今回開発したハムスターは、日本における糖尿病の発症機構の解明や治療法の開発に用いることができる貴重な実験モデルといえます。

 本研究成果は、2024年8月12日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください
卵管内ゲノム編集法によるやせ型糖尿病モデルハムスターの作出
研究者情報
研究者名
稲垣 暢也
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41598-024-67513-9

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/290493

【書誌情報】
Michiko Hirose, Kimiko Inoue, Shogo Matoba, Takaki Tatebe, Syun Tokita, Yukiko Dodo, Toshiko Tomishima, Ayumi Hasegawa, Arata Honda, Mao Ozaki, Akiko Shinogi, Ryoko Yanagisawa, Muhammad Fauzi, Takaaki Murakami, Nobuya Inagaki, Masaru Tamura, Atsuo Ogura (2024). Disruption of insulin receptor substrate 2 (IRS2) causes non-obese type 2 diabetes with β-cell dysfunction in the golden (Syrian) hamster. Scientific Reports, 14, 17450.