海洋マントルにおける小スケール対流の証拠検出―南太平洋アイツタキ島マントル捕獲岩からのアプローチ―

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 小木曽哲 人間・環境学研究科教授、三宅亮 理学研究科教授、伊神洋平 同助教、安本篤 同博士課程(研究当時)、秋澤紀克 東京大学助教、小澤一仁 同特任研究員、大嶋ちひろ 同修士課程学生(研究当時)、および東京学芸大学、東京工業大学、静岡大学、金沢大学のメンバーで構成される共同研究チームは、南太平洋アイツタキ島のマントル捕獲岩を用いて、海洋域のマントルで小スケール対流が発生していることを明らかにしました。本研究では、南太平洋・クック諸島の島であるアイツタキ島で採取されたマントル捕獲岩を用いて、詳細な岩石記載、構造解析、化学分析、数値モデリングを実施することで、小スケール対流の証拠となるマントルの下降流と上昇流を世界で初めて物質的に実証することに成功しました。先行研究ではアイツタキ島のマントル捕獲岩にザクロ石と呼ばれる高圧を示す鉱物が確認できていませんでしたが、本研究で実施した細粒分解物(あるいは細粒鉱物集合体)のナノスケールにまで及ぶ詳細な解析から、細粒分解物がザクロ石であると証明した点で新規性があります。この研究成果から小スケール対流の開始時期が推定できるようになるため、今後、地球の冷却モデルの高精度化への貢献が期待されます。

 本研究成果は、2024年7月5日に、国際学術誌「Progress in Earth and Planetary Science (PEPS)」にオンライン掲載されました。

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海洋マントルにおける小スケール対流モデル図