工藤洋 生態学研究センター教授と湯本原樹 同特定研究員らの研究グループは、葉の老化制御の季節性に着目し、常緑植物が夏と冬という対照的な季節をどのように生き抜いているのかについて明らかにしました。冬に葉を落とす落葉植物とは異なり、常緑植物は一年中葉をつけています。常緑植物であっても一枚一枚の葉には寿命があります。アブラナ科の常緑植物、ハクサンハタザオの3500枚の葉を4年半にわたって追跡しました。その結果、生育期には齢の進行や被陰により光合成が低下した葉を老化させて置き換えることで成長を最大化し、越冬期には葉の老化を停止させることで資源の貯蔵を最大化していることが明らかになりました。これまで複数の老化制御機構が自然条件下でどのように組み合わさって、季節に適応しているかは明らかではありませんでした。本研究の結果、葉の老化制御機構が季節に応じて統合的に制御されていることで、常緑植物が夏と冬に対応していることが明らかになりました。
本研究成果は、2024年6月7日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
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【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41467-024-48814-z
【書誌情報】
Genki Yumoto, Haruki Nishio, Tomoaki Muranaka, Jiro Sugisaka, Mie N. Honjo, Hiroshi Kudoh (2024). Seasonal switching of integrated leaf senescence controls in an evergreen perennial Arabidopsis. Nature Communications, 15, 4719.