掛谷秀昭 薬学研究科教授は、古谷裕 東京慈恵会医科大学講師、永森收志 同教授、松浦知和 同客員教授、平野秀典 慶應義塾大学特任准教授、堂前直 理化学研究所ユニットリーダー、白水美香子 同チームリーダー、鈴木治和 同チームリーダー、小林カオル 明治薬科大学教授らとの共同研究により、B型肝炎の完治が見込まれる新たな抗ウイルス薬の候補、iCDM-34を発見しました。
現在利用されているB型肝炎に対する核酸アナログ製剤はウイルスの増殖を抑える効果がありますが、ウイルスゲノムが残るため完治に至りません。今回の研究でiCDM-34がAh受容体(aryl hydrocarbon receptor,芳香族炭化水素受容体)を活性化し、従来と異なる仕組みでウイルスゲノムの合成を抑制することを見出しました。このことにより、核酸アナログ製剤との併用で、B型肝炎の完治が見込まれる新規の抗ウイルス薬候補となることが判明しました。さらに、iCDM-34はHIVや新型コロナウイルスなど様々なウイルスに対する抑制剤としての開発が可能です。
本研究成果は、2023年12月22日に、国際学術誌「Cell Death & Discovery」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41420-023-01755-w
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/286483
【書誌情報】
Yutaka Furutani, Yoshinori Hirano, Mariko Toguchi, Shoko Higuchi, Xian-Yang Qin, Kaori Yanaka, Yumi Sato-Shiozaki, Nobuaki Takahashi, Marina Sakai, Pornparn Kongpracha, Takehiro Suzuki, Naoshi Dohmae, Mutsuko Kukimoto-Niino, Mikako Shirouzu, Shushi Nagamori, Harukazu Suzuki, Kaoru Kobayashi, Takahiro Masaki, Hiroo Koyama, Kazuma Sekiba, Motoyuki Otsuka, Kazuhiko Koike, Michinori Kohara, Soichi Kojima, Hideaki Kakeya, Tomokazu Matsuura (2023). A small molecule iCDM-34 identified by in silico screening suppresses HBV DNA through activation of aryl hydrocarbon receptor. Cell Death Discovery, 9:216.