微生物の一種である酵母には、糖を油脂に変換することができるものが存在します。それらは、油脂酵母と呼ばれています。酵母は、稲わらのような非可食バイオマスを分解した糖を原料とすることが可能なため、持続可能な油脂生産技術への応用が期待されています。
谷村あゆみ 産官学連携本部特定助教、小川順 農学研究科教授、島純 龍谷大学教授らの研究グループは、滋賀県の土壌から新種の油脂酵母2種を発見しました。そのうちの1種は油を蓄積する性質にちなみHannaella oleicumulans、もう1種は東近江市から分離したことにちなみHannaella higashiohmiensisと命名されました。この研究成果から、日本の微生物資源の可能性の高さが示唆されました。分離技術を追求することで、酵母を用いた油脂生産などへの発展にも寄与できます。
本研究成果は、2023年9月20日に、国際学術誌「International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology」にオンライン掲載されました。
「今回、油脂酵母の多様性を知る一助となるような種が分離できたと考えています。今後は、油脂生産性が高い株、特定の脂肪酸のみを生産する株など、より実用性の高い菌株を分離できたらと考えています。 」(谷村あゆみ)
【DOI】
https://doi.org/10.1099/ijsem.0.006027
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/285330
【書誌情報】
Ayumi Tanimura, Hikaru Adachi, Koichi Tanabe, Jun Ogawa, Jun Shima (2023). Hannaella oleicumulans sp. nov. and Hannaella higashiohmiensis sp. nov., two novel oleaginous basidiomycetous yeast species. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 73(9):006027.
毎日新聞(12月23日 21面)に掲載されました。