『ハイジ』がユネスコ「世界の記憶」に登録―スイスの二つのアーカイヴの収蔵資料―

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 スイスの女性作家ヨハンナ・シュピーリの小説『ハイジ』は、これまで約70の言語に翻訳され、数多く映像化されてきました。中でも、日本製アニメ『アルプスの少女ハイジ』(1974)は日本国内のみならず欧米で大人気を博し、世界のポップカルチャーに影響を与えてきました。なぜハイジがこれほど大きな社会現象を呼ぶことになったのかを明らかにするため、川島隆 文学研究科准教授を代表として「『ハイジ現象』の国際的伝播とメディア横断的展開についての研究」を立ち上げ、シュピーリ/ハイジ関連の文書やイラスト原画など貴重な資料をアーカイヴ化して保存する活動に取り組んできました。

 このたび、本研究グループと協働するスイスのヨハンナ・シュピーリ文書館とハイジ資料館が申請主体となり、シュピーリ/ハイジ関連資料がユネスコの「世界の記憶」(記憶遺産)に登録されました。文学関係では、過去に『ドン・キホーテ』や『グリム童話』が同じ指定を受けていますが、『ハイジ』もそれと並ぶ人類の文化遺産に認定されたことになります。今後、本研究グループは、京都大学とチューリヒ大学との戦略的パートナーシップに基づき、“Global Heidi”をキーワードに共同研究を進めていきます。

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研究者のコメント

「『ハイジ』といえば日本では1974年のTVアニメが有名です。高畑勲、宮崎駿、小田部羊一などアニメ界の巨匠が全52話で手がけたこのアニメは、スイスで現地ロケハン(取材旅行)を敢行した良質な作品ですが、世界にはそれ以外に無数の『ハイジ』のイメージが拡散しています。ある国や地域でどんな『ハイジ』が普及しているかを見れば、そこの文化が何を大切にして、何を切実に求めているのかが見えてくるので面白いです。」(川島隆)

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メディア掲載情報

京都新聞(8月10日夕刊 1面)に掲載されました。