潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患は、大腸および小腸の粘膜に慢性炎症・潰瘍が生じる原因不明の遺伝性疾患で、国の指定難病となっています。これまで、主に欧米で大規模な遺伝学的解析が行われてきましたが、アジア人には結果がそのまま当てはまらないこともありました。
長﨑正朗 学際融合教育研究推進センター特定教授(研究当時)、角田洋一 東北大学講師および正宗淳 同教授らと、九州大学、国立国際医療研究センターによる日本の共同研究チームは、中国、韓国、そして米国の研究グループとの国際共同研究を通して、日本人を含む東アジア人の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)に特徴的な80か所の感受性遺伝子を報告しました。さらに、欧米人も含めた解析で、320か所の感受性遺伝子を同定しました。本研究は、1万人を超える東アジア人の炎症性腸疾患患者の大規模な遺伝子解析を行った世界で初めての報告です。
本研究成果は、日本人を含む東アジア人における炎症性腸疾患の発症リスク予測法や東アジア人に有用な治療薬の開発への貢献が期待されます。
本研究成果は、2023年5月8日に、国際学術誌「Nature Genetics」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41588-023-01384-0
【書誌情報】
Zhanju Liu, Ruize Liu, Han Gao, Seulgi Jung, Xiang Gao, Ruicong Sun, Xiaoming Liu, Yongjae Kim, Ho-Su Lee, Yosuke Kawai, Masao Nagasaki, Junji Umeno, Katsushi Tokunaga, Yoshitaka Kinouchi, Atsushi Masamune, Wenzhao Shi, Chengguo Shen, Zhenglin Guo, Kai Yuan, FinnGen, International Inflammatory Bowel Disease Genetics Consortium, Chinese Inflammatory Bowel Disease Genetics Consortium, Shu Zhu, Dalin Li, Jianjun Liu, Tian Ge, Judy Cho, Mark J. Daly, Dermot P. B. McGovern, Byong Duk Ye, Kyuyoung Song, Yoichi Kakuta, Mingsong Li, Hailiang Huang (2023). Genetic architecture of the inflammatory bowel diseases across East Asian and European ancestries. Nature Genetics, 55(5), 796–806.