橋口隆生 医生物学研究所教授、鈴木干城 同助教、佐藤佳 東京大学教授らの研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan)」は、新型コロナウイルスの「懸念される変異株(VOC:variant of concern)」のひとつである「オミクロンBA.5株」のウイルス学的特徴を、流行動態、免疫抵抗性、および実験動物への病原性等の観点から明らかにしました。
まず、統計モデリング解析により、オミクロンBA.5株の実効再生産数は、オミクロンBA.2株に比べて1.4倍高いことを見出しました。また、オミクロンBA.5株の抗原性が、オミクロンBA.2株とは異なることを明らかにしました。さらに、オミクロンBA.5株のスパイクタンパク質の合胞体形成活性は、オミクロンBA.2株に比べて有意に高いことを明らかにしました。そして、オミクロンBA.5株のスパイクタンパク質を持つウイルスは、オミクロンBA.2株に比べてハムスターにおける病原性が高いことを突き止めました。
本研究成果は、2022年9月13日に、科学雑誌「Cell」オンライン版で公開されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.cell.2022.09.018
【書誌事項】
Izumi Kimura, Daichi Yamasoba, Tomokazu Tamura, Naganori Nao, Tateki Suzuki, Yoshitaka Oda, Shuya Mitoma, Jumpei Ito, Hesham Nasser, Jiri Zahradnik, Keiya Uriu, Shigeru Fujita, Yusuke Kosugi, Lei Wang, Masumi Tsuda, Mai Kishimoto, Hayato Ito, Rigel Suzuki, Ryo Shimizu, M.S.T. Monira Begum, Kumiko Yoshimatsu, Kanako Terakado Kimura, Jiei Sasaki, Kaori Sasaki-Tabata, Yuki Yamamoto, Tetsuharu Nagamoto, Jun Kanamune, Kouji Kobiyama, Hiroyuki Asakura, Mami Nagashima, Kenji Sadamasu, Kazuhisa Yoshimura, Kotaro Shirakawa, Akifumi Takaori-Kondo, Jin Kuramochi, Gideon Schreiber, Ken J. Ishii, Takao Hashiguchi, Terumasa Ikeda, Akatsuki Saito, Takasuke Fukuhara, Shinya Tanaka, Keita Matsuno, Kei Sato (2022). Virological characteristics of the SARS-CoV-2 Omicron BA.2 subvariants including BA.4 and BA.5. Cell, 185(21), 3992-4007:e16.
朝日新聞(9月26日夕刊 6面)および日刊工業新聞(9月22日 26面)に掲載されました。