野生動物の移動パターンを研究するには、いくつかの手法があります。しかし、どの手法にも長所と短所があり、確実で一般性の高い説得力のある結論を得るには複数手法の組み合わせが必要です。
本郷峻 アフリカ地域研究資料センター特定研究員は、中島啓裕 日本大学准教授、ガボン熱帯生態研究所 Etienne F. Akomo-Okoue氏、同 Fred L. Mindonga-Nguelet氏と協力して、ガボン共和国・ムカラバ国立公園に暮らすマンドリルの群れの移動速度変化について、伝統的な直接追跡法と新規手法の自動撮影カメラを組み合わせて調査しました。
その結果、(1)マンドリルの群れは日中、ほとんどずっと移動を続けるが、移動速度の日周変化パターンは季節によって変わること、(2)一方で夜間には、季節を問わず地面では活動しないことがわかりました。直接追跡と自動撮影カメラの両方で移動速度変化の季節性について同様の結果が得られ、この地域のマンドリルの移動パターンについて説得力のある結論を得ることができました。
本研究成果は、2021年11月25日に、国際学術誌「Journal of Mammalogy」にオンライン掲載されました。
【DOI】https://doi.org/10.1093/jmammal/gyab141
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/267602
Shun Hongo, Yoshihiro Nakashima, Etienne François Akomo-Okoue, Fred Loïque Mindonga-Nguelet (2022). Seasonality in daily movement patterns of mandrills revealed by combining direct tracking and camera traps. Journal of Mammalogy, 103(1), 159-168.