パーキンソン病では、病気の進行に伴い認知症を合併することがありますが、認知症を発症する患者の特徴は未だ十分にはわかっていません。
今回、月田和人 医学研究科博士課程学生(兼・帝京大学特任研究員、関西電力医学研究所特任研究員)、酒巻春日 同博士課程学生、高橋良輔 同教授らの研究グループは、国際多施設共同観察研究のデータを用いて、APOE4アレルをもつパーキンソン病患者においてのみ、診断時の血中のリンパ球の減少がその後の経時的な認知機能の低下を的確に予測することを発見しました。興味深いことに、診断時の血中リンパ球数の低下は、APOE4アレルをもたない患者における認知機能の低下と全く関連がありませんでした。パーキンソン病において、血中リンパ球数は脳内の炎症を反映して低下する可能性が高いという報告を踏まえると、「APOE4アレル」と「脳内炎症」は相補的に認知機能の低下を引き起こす可能性が示唆されます。
本研究成果は、2021年10月14日に、国際学術誌「Movement Disorders」のオンライン版に掲載されました。
【DOI】https://doi.org/10.1002/mds.28799
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/266630
Kazuto Tsukita, Haruhi Sakamaki-Tsukita,Ryosuke Takahashi (2021). Lower Circulating Lymphocyte Count Predicts ApoE ε4-Related Cognitive Decline in Parkinson's Disease. Movement Disorders, 36(12), 2969-2971.