上田潤 医学研究科博士課程学生、上村紀仁 同特定助教、山門穂高 同特定准教授、高橋良輔 同教授らの研究グループは、αシヌクレインフィブリルを投与した培養細胞とマウスを用いた実験により、抗てんかん薬の一種である「ペランパネル」が、パーキンソン病であるαシヌクレインの伝播を抑制することを発見しました。
パーキンソン病はドパミン神経が進行性の変性を起こす難病であり、本邦では20万人近くの患者が存在しています。パーキンソン病の治療法としてはドパミンを補充するなどの対症療法は存在しますが、病状は徐々に進行していくため、病状の進行自体を遅らせる治療法の開発が急務となっています。パーキンソン病の原因は、αシヌクレインという蛋白質が神経細胞に蓄積し、凝集することと考えられています。最近、この異常に凝集したαシヌクレインが神経細胞同士の間を伝播することで、脳に広く病変を形成し、病状を進行させるという現象が注目されています。
ペランパネルは既に臨床で使用されている薬剤であるため、パーキンソン病の病状進行を抑える薬としても迅速な応用が期待されます。
本研究成果は、2021年04月05日に、国際学術誌「Movement Disorders」のオンライン版に掲載されました。
【DOI】https://doi.org/10.1002/mds.28558
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/262704
Jun Ueda, Norihito Uemura, Masanori Sawamura, Tomoyuki Taguchi, Masashi Ikuno, Seiji Kaji, Yosuke Taruno, Shuichi Matsuzawa, Hodaka Yamakado, Ryosuke Takahashi (2021). Perampanel Inhibits α‐Synuclein Transmission in Parkinson's Disease Models. Movement disorders : official journal of the Movement Disorder Society, 36(7), 1554-1564.