先天性無歯症に対する分子標的薬の開発 −USAG-1を標的分子とした歯再生治療−

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 高橋克 医学研究科准教授(現・公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院歯科口腔外科主任部長)、杉並亜希子 同研究員(現・トレジェムバイオファーマ株式会社研究員)、菅井学 福井大学教授、時田義人 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 主任研究員、高木淳一 大阪大学教授らの研究グループは、先天性無歯症モデルEDA遺伝子欠損マウスに、BMPシグナルを活性化するマウス抗USAG-1中和抗体を単回投与することにより、歯の形成が回復することを見出しました。さらに、野生型マウスに投与することで、完全な形の新しい歯を再生することにも成功しました。

 これまで先天性無歯症には成人以降に義歯や歯科インプラントによる人工歯を用いた代替治療が施行されてきました。根治的な治療として歯の再生治療の開発が望まれていましたが、細胞リソース、コストや安全性などの問題で、臨床応用まで至っていませんでした。 

 今後、本研究によって開発された分子標的薬を先天性無歯症治療薬として、臨床応用に向けた開発を行う予定です。

 本研究成果は、2021年2月13日に、国際学術誌「Science Advances」に掲載されました。

左:USAG-1中和抗体、右:先天性無歯症に対する分子標的治療
図:(左)USAG-1中和抗体、(右)先天性無歯症に対する分子標的治療
書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1126/sciadv.abf1798

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/261703

A. Murashima-Suginami, H. Kiso, Y. Tokita, E. Mihara, Y. Nambu, R. Uozumi, Y. Tabata, K. Bessho, J. Takagi, M. Sugai and K. Takahashi (2021). Anti–USAG-1 therapy for tooth regeneration through enhanced BMP signaling. Science Advances, 7(7):eabf1798.

メディア掲載情報

日刊工業新聞(2月17日 27面)に掲載されました。