妊娠初期から発達する父親の「親性」脳の活動を確認 -育児に対する父親の脳と心の発達には個人差がある-

ターゲット
公開日

 明和政子 教育学研究科教授、DIAZ-ROJAS Françoise 同PD研究員、菊水健史 麻布大学教授らの研究グループは、妊娠初期から発達する父親の「親性」脳の活動を確認しました。

 昨今、母親ひとりに対する育児負担過多(孤立育児)を背景に、父親の育児参与が注目されています。これまで、子どもを養育中の父親を対象に、養育行動に関わる脳活動のパターン(親性脳)が調べられてきました。しかし、父親の親性脳が「いつから発達するのか」「どのくらいの個人差がみられるのか」という点はわかっていませんでした。

 本研究グループは、パートナーが初産で妊娠中の男性(父親群)と、子を持つ予定のない男性(統制群)を対象に、育児に関する動画を提示中の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)にて計測、比較しました。また、心理・行動特徴を調べる質問紙調査と、唾液中のオキシトシンとテストステロンの計測を行い、脳活動パターンとの関連を調べました。その結果、両群ともに、育児に関する動画に対して、親性脳とされる領域の活動が確認されました。ただし、親性脳の活動パターンには大きな個人差がみられ、育児に対するイメージなど、いくつかの心理・行動特徴が親性脳の活動と関連することが明らかになりました。

 本研究成果は、2020年11月2日に、国際学術誌「NeuroImage」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

図:本研究の概要図

研究者情報
書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1016/j.neuroimage.2020.117527

【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/259343

Françoise Diaz-Rojas, Michiko Matsunaga, Yukari Tanaka, Takefumi Kikusui, Kazutaka Mogi, Miho Nagasawa, Kohei Asano, Nobuhito Abe, Masako Myowa (2020). Development of the paternal brain in expectant fathers during early pregnancy. NeuroImage, 225:117527.