希少哺乳類の生息地を環境DNAで特定 -希少動物の分布調査に新たな戦略-

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米澤悟 農学研究科修士課程学生(研究当時)、井鷺裕司 同教授、潮雅之 白眉センター特定准教授らの研究グループは、環境DNA分析と呼ばれる研究手法を利用し、希少な哺乳類カワネズミの新たな生息地候補を効率的にリストアップすることに成功しました。さらに、リストアップされた生息地候補に自動撮影カメラを仕掛け、実際にカワネズミが生息していることも確認されました。

カワネズミは、個体数が少ない上、小型で夜行性であるため、これまで生息地の把握が困難でしたが、「環境DNAによる効率的探索+自動撮影カメラによる生息の確認」という戦略が、このような希少動物の生息地探索において有効であることが示されました。

本研究で用いた研究枠組みは、他の希少動物の生息地の探索にも容易に応用できます。環境DNA分析と既存技術を組み合わせることでより効果的な生物多様性の保全・管理が可能になると期待されます。

本研究成果は、2020年9月4日に、国際学術誌「Conservation Genetics」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1007/s10592-020-01310-5

Satoru Yonezawa, Masayuki Ushio, Hiroki Yamanaka, Masaki Miya, Atsushi Takayanagi & Yuji Isagi (2020). Environmental DNA metabarcoding reveals the presence of a small, quick-moving, nocturnal water shrew in a forest stream. Conservation Genetics, 21(6), 1079-1084.