ターゲット
公開日
田村大也 理学研究科 博士課程学生は、宮城県金華山島の野生ニホンザルが行うオニグルミ採食の詳細な行動観察を行ったところ、身体的に十分に発達した個体の中でも、クルミの硬い殻を割って中の子葉を食べることができる個体と、殻を割れず子葉が食べられない個体がいることを発見しました。
また、クルミの割り方には4つの異なる型が存在し、多くの個体はそのうちの一つの型を好んで使っていました。さらに、身体的な力がオスに比べて弱いメスが使う割り方では、クルミを回転させたり、噛む歯を左右入れ変えたりするようなクルミに対する操作が、オスが使う割り方よりも頻繁に行われていました。メスはクルミを頻繁に操作することでオスに劣る力を補っていると言えます。
これらの研究結果は、ニホンザルがオニグルミの殻を割れるようになるには、身体的な発達だけでなく、適した採食技術の習得も必要であることを示唆しています。
本研究成果は、2020年4月15日に、国際学術誌「American Journal of Primatology」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1002/ajp.23130
Masaya Tamura (2020). Extractive foraging on hard‐shelled walnuts and variation of feeding techniques in wild Japanese macaques (Macaca fuscata). American Journal of Primatology, 86(6):e23130.