黒田浩一 農学研究科准教授は、Gregory Stephanopoulos マサチューセッツ工科大学教授、Gerald R. Fink ホワイトヘッド医学生物学研究所教授、José L. Avalos プリンストン大学 助教らと共同で、バイオエネルギーとして重要なイソブタノールなどの分岐鎖アルコール生産時に起こる細胞生育阻害の新たなメカニズムを発見しました。
また、窒素飢餓ストレス応答を制御することによって、分岐鎖アルコール特異的に耐性を高めることに成功しました( gln3 Δ 株)。さらに、代謝デザインによるイソブタノール生産を行う際、耐性を高めた酵母を用いることで生産能を大幅に増大させることができました。
本研究成果は、分岐鎖アルコールによる生育阻害が、本来細胞に備わっているストレス適応メカニズムを介して引き起こされるという、分岐鎖アルコールの細胞毒性機構を解明した初めての知見であり、酵母による医薬品を含む様々な化成品の生産性を増大させる上でも重要な代謝工学・合成生物学の戦略を提唱するものです。
本研究成果は、2019年11月14日に、国際学術誌「Cell Systems」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.cels.2019.10.006
Kouichi Kuroda, Sarah K. Hammer, Yukio Watanabe, José Montaño López, Gerald R. Fink, Gregory Stephanopoulos, Mitsuyoshi Ueda and José L. Avalos (2019). A Critical Roles of the Pentose Phosphate Pathway and GLN3 in Isobutanol-Specific Tolerance in Yeast. Cell Systems, 9(6), 534-547.e5.
- 日刊工業新聞(11月19日 21面)に掲載されました。