人間の活動が河川の環境修復を促進することを解明 -福島原発事故後の河川放射性物質長期モニタリング結果から-

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山敷庸亮 総合生存学館教授、恩田裕一 筑波大学教授、福島県らの研究グループは、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生後における河川の放射性セシウム濃度を5年間にわたってモニタリングし、取得したデータを解析した結果、水田・畑・都市域など人間活動の影響がある地域から流出する放射性セシウム濃度が大きく低下していることを解明しました。

例えば阿武隈川水系では、事故後5年目までに、チェルノブイリ原発事故後のプリチャピ川の約3分の1~21分の1となっていることがわかりました。

本研究成果は、福島の陸域がヨーロッパの知見から考えられていたよりも速く浄化していることを示しており、福島の環境修復が進んでいることを明らかにしました。また、これらのデータは、将来、世界各国で起こりうる放射能汚染事故の復興計画に大きな影響を与えるものと考えられます。

本研究成果は、2019年9月26日に、国際学術誌「Environmental Science and Technology」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の主要な成果を現した模式図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1021/acs.est.9b02890

Keisuke Taniguchi, Yuichi Onda, Hugh G. Smith, William Blake, Kazuya Yoshimura, Yosuke Yamashiki, Takayuki Kuramoto and Kimiaki Saito (2019). Transport and Redistribution of Radiocesium in Fukushima Fallout through Rivers. Environmental Science and Technology, 53(21), 12339-12347.