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大日輝記 医学研究科講師、椛島健治 同教授らの研究グループは、「上皮-免疫微小環境 (EIME)」という新しい概念を提唱しました。どのような皮膚炎になりやすいかは、以前は免疫細胞の性質で決まると考えられていました。一方で、皮膚の表面の角質バリアの性質や善玉菌と悪玉菌の構成、また皮膚の感覚神経の働きが大きく影響することが次第に明らかにされてきました。
本研究グループは、これらの関係をまとめることで、さまざまなタイプの慢性の皮膚炎が起こる仕組みを、次のように説明づけることができると考えました。
- 皮膚には、毒物やカビなど、体外のさまざまな有害な因子を感知して、それぞれを追い出すのに最適な反応を引き起こす仕組みがあり、この仕組みは主に体表面から0.2 mmほどの微小環境が担っている。
- この仕組みに偏りが起こると、皮膚表面の上皮細胞と免疫細胞の相互作用で炎症のループが回り始め、悪玉菌の影響や感覚神経の働きも結果的にこのループを通ることで炎症に影響を与える。
- この仕組みを明らかにすることで、新しい治療につながる可能性がある。
本研究成果は、2018年11月16日に、国際学術誌「Nature Immunology」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41590-018-0256-2
Teruki Dainichi, Akihiko Kitoh, Atsushi Otsuka, Saeko Nakajima, Takashi Nomura, Daniel H. Kaplan & Kenji Kabashima (2018). The epithelial immune microenvironment (EIME) in atopic dermatitis and psoriasis. Nature Immunology, 19(12), 1286-1298.