京都大学久能賞の2024年度授賞式・報告会を、2024年12月13日に、百周年時計台記念館にて行いました。2024年度は、河合真穂さん(工学研究科修士2年生)、赤松舞里乃さん(医学部3年生)の2名が受賞しました。
本賞は、本学OGの久能和子氏、祐子氏のお母様である久能悠子氏からの寄附により、科学・技術分野において自ら定めた独創的な夢を持つ意欲のある女子学生を支援することを目的として設立されたものです。
式では、國府寛司 理事・副学長より「悠子様のご趣意を踏まえまして、京都大学としましても、今後も久能賞が継続できるように努めてまいります。本賞の受賞をきっかけとして、今後、益々ご活躍されることを期待しております」との開会挨拶に加えて、稲垣恭子 理事・副学長より、今回の申請者数、選考時の経緯などの説明ならびに「河合さんは積極的な研究発表や海外でのサマースクールへの参加等夢の実現に向けて積極的である点、赤松さんは「夢は願うもの目標は叶えるもの」との志をもち、難病治療を目標に掲げ現在iPS細胞研究所で原因物質の研究をする等、着実に勉強を進めている点が印象的でした。2人とも夢に向かってチャレンジ精神を持って取り組む姿勢と社会への貢献度についても実現する可能性を感じた点が評価されました」との講評がありました。
表彰状および目録授与の後、受賞者より、受賞に至った自らの夢についての発表がありました。河合さんは「この度は久能賞という素晴らしい賞を授与いただき、誠にありがとうございます。私は現在、水素航空機の実現に向けて数値計算の立場から不安定燃焼の研究をしています。来年度進学予定の博士後期課程では、多分野の知識をさらに吸収しつつ研究を深化させたいと考えています」と話しました。赤松さんは「この度は久能賞という栄誉ある賞を賜り、心より感謝申し上げます。まだ何者でもない私の志を後押ししていただいたことを大変心強く感じております。私の夢と志の原点にあるのは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病です。ALSを「治せる病気」に変える、その一助となりたいと切に願い、これからより一層基礎研究に邁進して参ります」と話しました。
その後、2023年度受賞者2名から、今年度の成果、活躍について報告がありました。金藤栞さん(農学研究科博士1年生)は「昨年度は、生態系の均衡を保つ仕組みを明らかにし、農業害虫の防除に取り入れたい、という夢を語りました。分野の特性上、研究成果を届けるべき人にきちんと届けることの大切さを感じる場面が多くあります。そこで今年度は情報発信にも注力し、国際学会でのシンポジウム主催と高校での出張授業に挑戦しました。賞を頂いて自信がついたおかげで一歩踏み出せたので、心から感謝したいです」と話しました。石田早侑梨さん(農学研究科修士1年生)は「この1年間は壁にぶつかることもありましたが、授賞式で頂いた激励が前進する力になりました。研究成果の学会発表やインターンシップを経験したほか、来年は海外留学にも挑戦できることになり、充実した学びのある日々を送っています。サポートしてくださる周囲の方々への感謝を胸に、今後も精進していきたいです」と話しました。
最後に、来賓の橋寺由紀子 株式会社フェニクシー代表取締役社長より「受賞者2人の研究は社会の生活、人の幸せにつながる研究をテーマにしており、直面する課題に対して、次の世代に課題を解決してつなぎたいという思いを感じる内容でした。また、人生の基点となるターニングポイントにおいて自分で決断し続け、その判断に責任を持ち続けてほしい。恐れずに自分で決断し続け前に進むことを怖がらずに続けてほしい」と受賞者に向けて励ましの言葉がありました。