京都大学主催による高校生の研究発表大会「サイエンスフェスティバル2021」および「ポスターセッション2021」を、2022年3月12日に百周年時計台記念館で合同開催しました。審査協力として、桑本和成 和歌山県教育センター学びの丘 指導主事をお招きしました。当日は、全国の国公私立46校から約140名の高校生が参加し、文系理系あわせて46テーマでオーラル発表やポスター発表を行いました。コロナ禍でさまざまな影響のあった課題探究活動でしたが、いずれの高等学校も質の高い活動を維持しており、プレゼンテーションやポスターの構成も例年に匹敵する高いレベルのものでした。
高校関係者や学内の若手研究者からの意見も参考にした結果、下記5校を優秀賞に決定しました。有賀哲也 副学長(高大接続・入試センター長)は、「甲乙つけがたい研究発表ばかりだった。受賞校は、きょう参加した全ての高校の代表として受賞しているものと理解してほしい。」と語り、参加生徒の探究活動に対する日々の努力を労い、そして温かい助言と的確な指導を続けている高校関係者に賛辞を送りました。なお、優秀校には賞状と記念のトロフィーを贈呈しました。
受賞校
サイエンスフェスティバル
優秀発表賞:三重県立伊勢高等学校
タイトル
「卵を産まない寄生バチの雌が種を保存する!?-「トントン」するハチの驚くべき行動とその意味について-」
講評
現時点でも論文をまとめられるレベルだと思います。課題設定、仮説検証、またその後の実験や観察結果及び文献より、自分の推測や考えを持ち、課題解決に向けて研究を行っていました。さらなる研究の深化に期待します。
受賞校からのコメント
このたび、京都大学サイエンスフェスティバルのオーラル発表部門において優秀賞をいただき、大変うれしく思っております。本当にありがとうございます。今回の受賞に慢心せず、今後も努力を重ねていきたいと思っています。なお、本研究は伊勢高校に隣接する皇學館大学の設備を使用させていただきました。研究にあたり、ご指導いただいた同大学教育学部生物学教室の中松豊教授、澤友美助教をはじめ、所属する学生のみなさまに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
優秀ポスター賞 :福井県立高志高等学校
タイトル
「水面に浮遊している物質の動き方」
講評
身近な視点からの研究動機に好感が持てます。意外と誰も見てこなかった自分たちなりの「気づき」に対して、しっかりと観察し、成果に結びつけていることを評価しました。口頭発表もサイエンスの面白さを共有したい、という思いがヒシヒシ伝わってきました。
受賞校からのコメント
この度は、優秀ポスター賞をいただきまして、誠にありがとうございます。コーヒーのカップに付く汚れに疑問を感じたことから研究が始まり、身近にあるものを用いて実験に取り組んだ、地に足の着いた高校生らしい研究を評価していただいたことをうれしく思っています。これからも研究をさらに発展させ、水面での物質の動き方を追究していきたいと思います。
ポスターセッション
優秀ポスター賞:静岡県立磐田南高等学校
タイトル
「水生生物の共生~ホウネンエビと藻類~」
講評
非分類藻類の発見と、それにつながる様々な観察や検証が続けられていることを評価しました。多角的な視点で、しっかりと研究を進めている印象があり、研究結果も分かりやすいものとなっています。
受賞校からのコメント
このような賞をいただくことができ、大変光栄です。自分が行っていて面白いと思った研究を他の方にも面白いと感じていただけることは非常に嬉しいことでした。ホウネンエビと藻類の関係を明らかにするため、実験方法から試行錯誤してきました。実験が失敗に終わり、苦しい時期もありましたが、多くの方々からのご助言や、研究の楽しさによってここまで研究に取り組むことができました。今後も共生関係を示すために頑張っていきます。
優秀ポスター賞:静岡県立清水東高等学校
タイトル
「ミズクラゲの流動パラフィンでの体液置換による保存方法の研究」
講評
まずは、探究活動に対して真摯に取組む姿勢が評価できます。生徒の熱意あふれる発表でした。研究の着眼点、有用性、そして試行錯誤しながらひとつの結論を導き出すなど大変印象に残るものでした。
受賞校からのコメント
今回はこのような賞を受賞でき、大変嬉しく思います。現在のクラゲの標本事情解決の手助けになればと思い、始めた本研究ですが、様々な方々のご協力の甲斐あって、今回1つの形として発表することができました。まだまだ改善の余地は多くありますが、今後も周りの方々への感謝の気持ちや実験に対する飽くなき向上心を忘れずに研究に取り組んでいきます。
優秀ポスター賞:鹿児島県立甲南高等学校
タイトル
「柚子の天然防腐剤で食品ロスを改善しよう!」
講評
参加校の中でもきちんとデータ解析を行っていました。食糧問題解決に役立つ研究結果となっており、応用例につながるであろう成果を見通している点も評価しました。実用化に向けてさらなる試行錯誤を期待します。
受賞校からのコメント
今回はこのような賞をいただき、大変光栄に存じます。生徒は放課後等を活用し、大学の教授にアドバイスを仰ぎながら試行錯誤を繰り返してきました。これまで発表会やコンテストを経験し、さらに今回のポスターセッションを通して、ますます意欲が高まってきているようです。改めてこのような機会をいただいたことに感謝申し上げます。