京都大学では、北は北海道から南は九州まで、全国各地に数多くの教育研究施設を展開しています。これらの隔地施設は、本学の多様でユニークな教育研究活動の拠点として重要な役割を果たすとともに、施設公開などを通じて、それぞれの地域社会における「京都大学の窓」として親しまれてきました。
これらの隔地施設の活動をより一層知ってもらうため、一定期間に集中して公開イベントを行う「京大ウィークス」を2011年度から開催しています。
2020年度も「京大ウィークス2020」として、23施設でさまざまな公開イベントを企画しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大や、10月の台風14号の影響を受けて中止となった施設があり、19施設での開催となりました。オンラインも含め、全国でのべ5,083名を超える参加がありました。
- 「京大ウィークス2020」開催告知
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/social/weeks/2020
「京大ウィークス2020」各施設の公開イベント
北海道 | 北海道研究林 ミニ公開講座「自然観察会」 |
岐阜県 | 飛騨天文台 特別公開 ※ 飛騨天文台 社会人のための「飛騨天文台 自然再発見ツアー」は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、中止となりました。 |
滋賀県 | 信楽MU観測所 信楽MUレーダー見学ツアー2020 |
流域圏総合環境質研究センター 施設公開 「琵琶湖畔での半日研究体験プロジェクト」(オンライン開催) | |
生態学研究センター 一般公開「学校で習わない生き物の不思議」 | |
京都府 | |
舞鶴水産実験所 乗船体験・海の生き物展示およびスライドショーの上映 | |
芦生研究林 一般公開 | |
上賀茂試験地 秋の自然観察会 | |
花山天文台 花山天文台応援 喜多郎・野外コンサート(オンライン開催)・ 特別公開「宇宙と文化の日」 | |
バーチャル宇治キャンパス公開(オンライン開催) | |
京大農場オープンファーム2020 | |
大阪府 | 阿武山観測所 特別講演シリーズ「阿武山観測所の魅力~地震・建築・古墳」・施設公開 |
複合原子力科学研究所 アトムサイエンスフェア 講演会(オンライン開催) ※ アトムサイエンスフェア実験教室は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、中止となりました。 |
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和歌山県 | 和歌山研究林 ミニ公開講座 |
※ 潮岬風力実験所 大気観測の実体験は、天候不良のため、中止となりました。 | |
岡山県 | 岡山天文台 特別公開(オンライン開催) |
山口県 | ※ 徳山試験地 周南市・京都大学フィールド科学教育研究センター連携公開講座は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、中止となりました。 |
徳島県 | 徳島地すべり観測所 施設一般公開 |
大分県 | 地球熱学研究施設 施設公開・講演会・ライトアップ ※ 施設公開および講演会は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、中止となりました。 |
熊本県 | 火山研究センター 一般見学会 |
宮崎県 | 幸島観察所 公開講座「幸島ニホンザルの観察会」 |
※ 宮崎観測所 施設見学・公開講座2020「見て・聞いて・楽しく学ぼう!」は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、中止となりました。 |
北海道研究林 ミニ公開講座「自然観察会」(10月17日(土曜日))
フィールド科学教育研究センター北海道研究林白糠区では、ミニ公開講座「自然観察会」を行いました。
2020年は、例年より定員を半分にして観察会の募集をしました。 24名の応募があり、 抽選の結果、11名の参加となりました。管理棟にて開会式および概要説明を行い、その後、レンタカーで研究林内の遊歩道に移動し、教員・技術職員の解説を聞きながら遊歩道を歩きました。
参加者からは「たくさん研究林のこと、研究林の動物のことを知れて良かったです」、「参加して良かった」などの感想が多く寄せられました。
飛騨天文台 特別公開(10月17日(土曜日))
理学研究科飛騨天文台では、「飛騨天文台 特別公開」を開催しました。このイベントは、ウィークス期間外の8月22日(土曜日)の開催を予定していましたが、10月17日に延期の上、岐阜県高山市の子ども夢創造事業「科学ひろば」と連携して行いました。地元の小中学生を中心に37名が参加し、オンラインでの見学会と科学ひろば会場での工作教室を楽しみました。
参加者からは、「今度は実際に天文台に行って、直接望遠鏡や星を見てみたい」、「自分で工作した分光器で、色々な虹が見られて楽しかったので、自宅でも色々な光の虹を調べてみたい」といった感想が寄せられました。
信楽MU観測所 信楽MUレーダー見学ツアー2020(11月14日(土曜日))
生存圏研究所信楽MU観測所では、信楽MUレーダー見学ツアーを開催しました。
2020年は、定員を例年の半数程度としましたが、定員を大きく上回る応募があり、午前と午後の部を合わせて78名の参加がありました。当日は、2班に分かれて、教員および観測所スタッフによるMUレーダーおよび光・電波・音波を用いた大気観測装置の見学ツアーを行いました。最後に、気球を用いた大気計測手法(ラジオゾンデ)を説明し、来場者と一緒に気球を放球する観測実演を実施しました。
参加者からは、「普段見る事が出来ない観測器内部やアンテナを間近で見ることができて良かった」、「全く知らない分野だったが、かみ砕いた説明をしてもらえ、興味深い時間を過ごせた」などの感想が多く寄せられ、好評のうちに終了しました。
流域圏総合環境質研究センタ- 施設公開 「琵琶湖畔での半日研究体験プロジェクト」(オンライン開催) (11月7日(土曜日)~11月14日(土曜日))
工学研究科流域圏総合環境質研究センターでは、施設公開 「琵琶湖畔での半日研究体験プロジェクト」を開催しました。
2020年は、例年の施設見学に代わって、施設の紹介ビデオと教員による講義ビデオを総合環境質研究センターWebサイト上で公開しました。講義は、田中宏明 工学研究科教授が「世界を救う安全な水のリサイクル」と題して、清水芳久 同教授が「環境工学の挑戦~地域と地球の存続のために」と題して行いました。2021年は、施設見学会を開催できることを願いつつ、好評のうちに配信を終了しました。
生態学研究センター 一般公開「学校で習わない生き物の不思議」(10月17日(土曜日))
生態学研究センターでは、一般公開「学校で習わない生き物の不思議」を開催しました。
2020年は、申込み受付開始後30分で定員を超えるほどの人気で、当日も32名全員出席で始まりました。本来は野外での自然観察も予定していましたが、あいにくの大雨のため、予定を変更し、最初に『昆虫をたくみに使う植物たち』という講演を行い、顕微鏡で花に来る昆虫やアリの観察をしました。その後は『植物学勇者の冒険』と題して、教授が出すミッションをクリアしていく勇者になるというクイズ形式で、植物の資源配分に関する実習に取り組みました。
新型コロナウイルス感染拡大予防のため募集人数を少なくしましたが、その分顕微鏡観察や実際の植物を使った実習をしたことで、参加者の関心は高く、イベントは好評のうちに終了しました。
舞鶴水産実験所 乗船体験・海の生き物展示およびスライドショーの上映(10月24日(土曜日))
フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所では、乗船体験・海の生き物展示およびスライドショーの上映を実施しました。
2020年は20名の定員を上回る78名の応募があり、当日は21名の参加がありました。参加者は教育研究船 「緑洋丸」に乗船し、多項目水質計による海洋観測に続き、底引き網による底生生物採集を見学しました。帰港後には採集サンプルの解説を受け、スライドショーで丹後海の魚について学びました。
参加者からは、「水族館で出会う生き物とは違う魅力を感じました」などの感想が寄せられ、イベントは好評のうちに終了しました。
芦生研究林 一般公開(10月24日(土曜日))
フィールド科学教育研究センター芦生研究林では、一般公開を行いました。
このイベントは、京都大学の教育・研究環境を公開するとともに、訪問者が芦生研究林の自然に親しむ機会を提供するものとして開催しているもので、2020年は申し込みが必要なプログラムの定員を例年の半分にしていましたが、定員の4倍に及ぶ約130名の応募があり、当日は31名の参加がありました。
当日は、教職員によるガイドツアー、360度画像を用いた森林VR体験のほか、資料館開放を実施しました。参加者は、イベントを通して芦生の自然について学び、またそれを研究する科学者と触れ合う機会となりました。
参加者からは「原生林はこういう機会でなければ来られないので非常に貴重な機会でした」、「先生方のお話が興味深くもっと聞いていたかったです。ぜひまた参加したいです」などの感想が寄せられ、イベントは好評のうちに終了しました。
上賀茂試験地 秋の自然観察会(11月7日(土曜日))
フィールド科学研究センター上賀茂試験地では、秋の自然観察会を開催しました。
2020年は、定員を減らしての開催となりましたが、60名の応募があり、抽選の結果、12名が参加しました。当日は、2班に分かれて、天然のヒノキ林や国内外の針葉樹が植栽された見本林をスタッフの解説のもと散策しました。
参加者からは「小雨であったが楽しく森林散策ができた」、「2か月に1回程度このような機会があれば良いと思った」などの感想が寄せられました。
花山天文台 花山天文台応援 喜多郎・野外コンサート(オンライン開催)・ 特別公開「宇宙と文化の日」(10月3日(土曜日)~11月14日(土曜日)、10月31日(土曜日))
理学研究科 花山天文台では、10月3日から11月14日に「花山天文台応援:喜多郎さんとふりかえる 宇宙と音楽の対話」と題したコンサート、10月31日には特別公開「宇宙と文化の日」をオンラインにて配信しました。
野外コンサートは、花山天文台応援を目的として、世界的音楽家の喜太郎氏を迎えて毎年開催していますが、2020年は花山天文台での開催は中止としました。代わりに、これまでに開催されたコンサートの録画や写真に加え、喜多郎氏や漫画家の松本零士氏のコメントなどを新たに収録した映像配信を行い、これまでを振り返り、かつ将来へのメッセージを発信しました。
特別公開「宇宙と文化の日」もオンラインで開催しました。芸術作品「太陽の蝶形庭:Butterfly Garden in the Sun」を展開し、作品の前から中継を行いました。
参加者からは、「とても面白くて刺激になりました」、「アートと共鳴すると宇宙がより身近になることがわかりました」などの感想が寄せられ、イベントは好評のうちに終了しました。
バーチャル宇治キャンパス公開(オンライン開催)(10月3日(土曜日)~11月14日(土曜日))
宇治キャンパスでは、バーチャル宇治キャンパス公開をオンラインで公開しました。
宇治キャンパスでは、科学研究活動の一端を知っていただくことを目的に、毎年キャンパス公開を実施しています。2020年は、インターネット上に特設サイトを設けて実施する「バーチャル宇治キャンパス公開」として、オンラインで実施し、宇治地区の研究者286名による研究や宇治キャンパスの歴史を紹介しました。例年のキャンパス公開では、宇治市や京都市など、近隣の参加者が過半数を占めていましたが、今回は、海外を含めた幅広い地域からのアクセスがありました。
農場 京大農場オープンファーム2020(11月3日(火曜日・祝日))
農学研究科附属農場において、京大農場オープンファーム2020を開催しました。
このイベントは、地域の人々に農業に触れる機会の提供、京大農場の最新の施設・設備の見学、農業技術の開発と実証を目指した京大農場の取り組みの紹介を目的に、毎年開催しているものです。2020年は、定員を設けての事前申込制としましたが、定員はすぐに埋まり、176名の参加がありました。
「”京大農学部の研究”市民の方に紹介します」をメインテーマとした公開講座を開催するとともに、農場内を巡る農場ツアー(水田・果樹コース、蔬菜・花卉コース)、農業体験実習「イネの収穫」「カキの収穫」といった企画と、研究紹介や実験器具展示等を通して、農業生産に関わる先端的研究、農学教育、実践的農業生産など、多面的機能を有する附属農場の活動内容を公開しました。
好天にも恵まれ、農場ツアーは盛況でした。農業体験実習の人気も高く、事前受付で早々に定員は埋まり、実験器具展示では来訪者が熱心にスタッフの説明に聞き入っていました。展示場では、京都府とのコラボレーションにより、農福連携事業の紹介も実施しました。公開講座には長野県など遠方からの参加もあり、参加者は講義に集中している様子で、講義後には活発な質疑応答も行われました。
参加者からは、「来年も参加したい」、「来年は農産物の販売なども再開できるようになれば嬉しい」などの感想が多数寄せられました。
阿武山観測所 特別講演シリーズ「阿武山観測所の魅力~地震・建築・古墳」・施設公開(11月2日(月曜日)、3日(火曜日・祝日))
防災研究所 阿武山観測所では、特別講演シリーズ「阿武山観測所の魅力~地震・建築・古墳」・施設公開を開催しました。
特別公開は、一人でも多くの方に観測所に足を運んでもらい、地震研究の場を肌で感じていただくことを目的に毎年開催しているものです。普段の見学会では公開していない施設の公開や特別講演等を実施しています。
2020年は、開所90周年を記念して、開所した頃の部屋や研究机の様子を再現した「90周年特別展示」を行いました。また、阿武山観測所の多様な魅力を、地震学はもちろんのこと、建築や古墳といったさまざまな観点から紹介する「特別講演」シリーズも実施しました。例年行っている最寄駅からの送迎車の運行を取り止め、また、2日目はあいにくの天候でしたが、両日合わせて175名の参加がありました。
参加者からは、「ミュージアムとして未来へ残して欲しい」、「講演会の内容が高度かつ分かりやすい説明で参加した甲斐があった」などの感想が寄せられ、好評のうちに終了しました。
複合原子力科学研究所 アトムサイエンスフェア講演会(オンライン開催)(10月18日(日曜日))
複合原子力科学研究所では、アトムサイエンスフェア2020を開催しました。
このイベントは、幅広い年齢層の一般の方々に広く科学に興味を持ってもらうことを目的として、毎年開催しているものです。
2020年は、初めてオンラインにて配信を行い、34名の参加がありました。田中浩基 複合原子力科学研究所准教授による「世界初の加速器を用いたBNCTの実現―京都大学における加速器BNCTの研究開発の歩み」と、黒﨑健 同研究所教授による「熱電変換―原理、応用、将来展望―」の2つの講演を実施しました。講演後には質疑応答が行われ、イベントは好評のうちに終了しました。
和歌山研究林 ミニ公開講座(10月24日(土曜日))
フィールド科学教育研究センター和歌山研究林では、ミニ公開講座を開催しました。
このイベントは、本施設の存在および意義、教育・研究内容を地域を中心とした一般市民の方々に知ってもらうことを目的に2015年から開催しているものです。当日は、有田川町清水行政局駐車場に集合し、マイクロバスで林内に向かいました。現地では研究林教員および技術職員の解説により、主に標高の高い尾根部で自然観察を行いました。参加者は樹木の種名だけでなく、その生息地など生存戦略の多様性や、木材の資源としての利用と課題に関して理解を深めました。
参加者からは、「勉強になりました」、「再度来てみたい」などの感想が寄せられ、イベントは好評のうちに終了しました。
岡山天文台 特別公開(オンライン開催)(11月7日(土曜日))
理学研究科 岡山天文台では、特別公開を開催しました。
2020年度の特別公開は、ライブ配信で行いました。第1部では、運用開始から1年半を経たせいめい望遠鏡の今まで、今、これからを網羅する内容を配信し、あわせて154名が視聴しました。第2部では「せいめい望遠鏡が観る惑星状星雲」と題し、大塚雅昭 理学研究科特定助教による講演をおこないました。あいにくの雨となり、天体映像はライブ配信ではなく、事前に録画していた映像を配信しましたが、合わせて81名が視聴しました。
徳島地すべり観測所 施設一般公開(10月31日(土曜日))
防災研究所 徳島地すべり観測所では、施設一般公開を開催しました。
このイベントは地すべりの多発する四国の地形や地質を知ってもらうことを目的に、防災研究所・斜面災害研究センターが毎年開催しているものです。例年はバスに乗り、ジオサイトの見学を行っていますが、2020年は一般公開のみを実施しました。それでも徳島県内外から、31名の参加があり、4回に分けて観測所の研究活動や地すべりに関する講義や展示の紹介を行いました。展示室では触ることのできる岩石鉱物の標本や、驚くほど精密な立体地図、最先端の調査機器、実際の調査の様子を収めたビデオを6台のディスプレイで上映し、触って見て感じる展示を行いました。多くの参加者から質問があり、イベントは好評のうちに終了しました。
地球熱学研究施設 特別公開・講演会・ライトアップ(10月30日(金曜日)、31日(土曜日))
理学研究科 地球熱学研究施設では、2020年10月30日と31日に登録有形文化財建物のライトアップを実施しました。
2020年は、施設公開と講演会は中止としましたが、登録有形文化財建物のライトアップを行い、両日合わせて24名が訪れました。
火山研究センター 一般見学会(7月25日(土曜日))
理学研究科 火山研究センターでは、一般見学会を開催しました。
2020年は、阿蘇火山の活動状況に関するポスターやドローンを用いた火山観測に関する動画での説明と観測機器の実演や七輪を用いたマグマ実験を行いました。45名の参加者は説明に熱心に耳を傾け、「火山研究の最前線を体験し、感じることができて非常によかった」、「分かりやすく充実した展示で時間が足りないほどでした」などの感想が寄せられました。
幸島観察所 公開講座「幸島ニホンザルの観察会」(11月8日(日曜日))
野生動物研究センター 幸島観察所では「幸島ニホンザルの観察会」を開催しました。
当日は県内外から19名の参加者が集まり、午前中は島に渡って解説を交えながら、砂浜でイモ洗い行動を観察しました。参加者はニホンザルがイモを洗う様子を双眼鏡を使って観察を行いました。また、島の林内を散策しサルたちが本来生息している環境を観察しました。
参加者はとても熱心に観察し、活発な質疑応答が行われました。参加者からは「イモ洗いを初めて見て驚きました」、「昔教科書で読んだ『幸島のサル』に出会えてよかった」などの感想が寄せられました。