ターゲット
公開日
連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」のシリーズ26は、「国際社会の中の日本-世界との関係・日本の現状-」をテーマに「京都アカデミアフォーラム」in丸の内で開催しました。
シリーズ26の第2回は、「世界と日本の食料・農業」と題し、久野秀二 経済学研究科教授が講演を行いました。
久野教授は、まず農業・食料を考える上では単に経済学・経済理論の応用研究としての農業経済学を考えればよいのではないことを、途上国、先進国等の地域的特性、農業の多元的価値(経済価値、社会的・文化的価値等)に触れながら説明しました。そして、食料安全保障と貿易をめぐる国家間対立、食品安全性や栄養面への不安、食文化の多様性等の農業・食料を取り巻くさまざまな事象を問題として捉えることの重要性、また、これらの問題が単発で発生しているのではなく関連して起こっていることについて食料価格の推移、世界食料危機、国際社会の対応等(世界食料サミット等)を話題にしながら解説しました。そして、現在の日本の農業・食料の在り方が、政治・経済・社会問題の影響を受けて変化してきていることについて、日本の食料需給構造や農業構造を例に挙げて説明し、将来を考える上では問題を点としてではなく面として捉え、より広い社会制度や国家、グローバルな観点で考えていく必要があることを述べました。
講演後は、参加者による積極的な質疑応答が繰り広げられ、盛況のうちに終了しました。