「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ25「時を考える」第3回を開催しました。(2017年6月1日)

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連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」のシリーズ25は、「時を考える」をテーマに東京オフィスで開催しました。

シリーズ25の第3回は、「インド仏教と時間」と題し、宮崎泉 文学研究科教授が講演を行いました。

宮崎教授は、インド仏教における時間の捉え方について、インド僧の世親が著した「阿毘達磨倶舎論」を典拠に宇宙の時間、生物の時間について説明しました。宇宙の時間は、「生成」-「存続」-「消滅」-「空無」という4つの期間を経て生成と消滅を繰り返し、1つの期間が20劫で、4つの期間80劫全体を大劫ということ等、仏教の宇宙における時間の単位や成り立ちについて解説しました。あわせて、生物の時間についても「誕生」-「生存」-「死」-「次の誕生までの間」という4つの期間で考えられていること、世界には4つの大陸があり、その大陸ごとに生物の寿命が異なるという考えについて説明しました。さらに、大乗仏教を体系づけたインド僧の龍樹が著した「根本中論頌」では、「過去」、「現在」、「未来」は否定されるという、別の観点での時の考察についても紹介しました。このような議論が私たちの生活の中でどのように影響しているかについても、例を挙げて説明しました。

講演後は、参加者による積極的な質疑応答が繰り広げられ、盛況のうちに終了しました。

講演する宮崎教授

会場の様子