本学と理化学研究所は、両機関の包括的な連携・協力を推進する基本協定の締結式を京都大学東京オフィスで行いました。
理化学研究所では、国内外の研究機関や大学・産業界との科学技術ハブ機能の形成を通じて、世界最高水準の成果を生み出していくことを目指すべく、2015年に「理化学研究所科学力展開プラン」を発表しています。本学は、理化学研究所と一体となって科学力の充実を図っていく第1号の大学として基本協定を締結することとなりました。
協定の締結により、2016年4月に本学に設置した高等研究院において、理化学研究所との連携機能を形成するなどして、両機関がそれぞれ単独では実現できない研究環境・システムを活用した世界最先端研究の展開、新たな研究領域の開拓、およびそれらを担う次世代人材の育成を目指します。
協定を契機としてさらに推進する代表的な研究課題の紹介では、伊佐正 医学研究科教授から「ヒューマン ブレイン」、石井俊輔 理化学研究所副理事から「加齢・老化メカニズム」、初田哲男 同理事長補佐および森重文 高等研究院長から「数理科学」について、具体的な今後の取り組みを披露しました。
また、人材の交流促進の手法のひとつとして 、 クロスアポイントメントを効果的に活用するなど、機関の利点を活かしつつ、研究者にとっても有益な環境提供を可能とすることを確認し合いました。
調印後の代表者挨拶で山極壽一 総長は、「理化学研究所とは現在でも多数の共同研究プロジェクトや、連携大学院制度を通じた理化学研究所研究者による特色豊かな大学院教育が行われているが、優れた研究開発力、最先端研究施設を活用するだけでなく、さらなる相乗効果を生み出し、人類未踏の領域を切り拓いて、人類社会を取り巻く課題に貢献していく。」と述べました。
松本紘 理化学研究所理事長からは、「まもなく理化学研究所は創立100周年を迎えるが、歴史的に理化学研究所の研究者が帝国大学で研究をしており、現在のクロスアポイントにあたることがすでに始まっていて、それらの交流によって大学も理化学研究所も中核機関として利点を見出してきた。理化学研究所と京都大学は設立当時からいろいろな研究者が活躍してきたので、関西にも拠点、センターなどを展開し、両機関の幅広い協力が進むことで、社会への貢献力が増すだろう。」との展望が述べられました。本学が持つ豊かなチームワークで、人文社会系教員の参画も望みつつ、協力が強化されることが期待されます。
締結式終了後は、両機関による懇談会が和やかな雰囲気のなか行われました。