夏本番を迎え熱い日差しが降り注ぐ中、京都大学基金「感謝の集い」を開催しました。
2014年に引き続き、第一部の大学施設見学に加えて、今年は山極壽一 総長の就任後、初めての感謝の集いということもあり、第二部は総長の講演会を開催しました。施設見学に70名、講演会に81名の参加がありました。
大学施設見学は、AとBの2コースを用意しました。
Aコースは「幕末維新の跡をたずねて」と題し、「尊攘堂」と「附属図書館」へ。吉田松陰や勤王志士の遺墨類を納めるために建てられ、現在は大学構内で発掘された文化財の展示室となっている尊攘堂では、由来とともに、伊藤淳史 文化財総合研究センター助教の案内で縄文時代から近世までの貴重な文化財を観覧しました。附属図書館では赤澤久弥 同情報サービス課長補佐が解説を行い、生前の松陰に一番似ていると言われる吉田松陰像を品川弥二郎像と並べて特別公開したほか、維新特別資料の数点を京都大学電子図書館の画像で披露しました。「通常は非公開のものが見られる貴重な経験」と、参加は木像をしげしげと眺めていました。
「静謐なる学問探究の場をたずねて」と題したBコースは、「湯川記念館」と「東アジア人文情報学研究センター」を見学。湯川秀樹教授が日本人初のノーベル物理学賞を受賞したのを記念して建てられた湯川記念館では、重森正樹 白眉センター特定准教授、花田政範 同特定准教授の解説で、湯川教授の研究室を再現した部屋や貴重資料を見物しました。中国学研究の国際拠点である東アジア人文情報学研究センターは、スパニッシュ・ロマネスク様式の異彩を放つ建物です。随所に工夫を凝らした館内を、富谷至 東アジア人文情報学研究センター長、クリスティアン・ウィッテルン 同教授の案内で巡りました。参加者たちは、湯川教授とアインシュタイン博士が一緒に写った写真に驚き、センターの鉄骨三層構造の珍しい書庫を見上げて貴重な漢籍に目を見張っていました。
第二部は百周年時計台記念ホールにて、山極総長が「グローバルリーダーの条件をゴリラから学ぶ」と題して講演会を行いました。ゴリラ社会には「リーダーの条件」があるとして、豊富なフィールドワークを通して気づいたリーダーの姿から、今、人間社会に求められているグローバルリーダー像について意見を展開しました。
続いて、大学基金担当の徳賀芳弘 副学長事務代理から、京都大学の近況報告を交えながら、京都大学基金の活動について報告がありました。収支状況のほか、今後の活用計画を紹介し、基金のますますの充実に向けた支援を呼びかけました。
その後、場所を2階の国際交流ホールに移して行われた懇親会では、山極総長をはじめ本学の全理事が参加者を迎え、和やかに歓談しました。寄付者からは、「ゴリラ研究で有名な山極総長の講演に興味があったので、今日は聞けてよかった」、「京都大学が多くの優秀な人材を輩出するのを期待している」、「ほかにはない京大らしい研究成果を上げてほしい」といった声が多く聞かれ、感謝の集いに満足いただくと同時に、京都大学基金にご理解いただけたようでした。
感謝の集いは、日頃、本学をご支援いただいている方々に直接謝意をお伝えし、貴重なご意見を伺う場です。同時に、本学がどんな道を進み、そのために京都大学基金をどのように活用するのかというビジョンを、支援者の皆様に示す場でもあります。そうしたビジョンを皆さまに厳しく評価いただきながら、京都大学基金は本学のさらなる発展を支えていきます。