京都大学の国際戦略「2x by 2020」
平成25年6月11日役員会決定
目次
はじめに
新たな国際戦略策定にあたって-「2x by 2020の提言」-
京都大学では、平成12年に公表の「京都大学における国際交流の在り方について」 により国際交流についての理念が提案され、また平成17年度には諸外国の教育研究組織等と緊密に連携しつつ国際化を展開するための要綱として「国際戦略」が策定され、積極的な国際交流が展開されてきた。
しかしこの間、社会・経済のグローバル化が急速に進み、今後さらに国際競争が激化していくことが想定される中、本学が世界に卓越した知の創造を行う大学として一層の発展をなしていくためには、新たな「国際戦略」の策定と具体的なアクションを強力に推進していくことが不可欠である。
このため、本学が真の世界トップレベル大学-WPU(World Premier University)-としての地位確立を目標に、これまでの「国際交流の推進」から、数値目標の達成に裏付けられた真の「国際化の実現」へとシフトし、2020年度(平成32年度)に達成すべきまたは目指すべき目標を定め、その取り組みや方向性を「2 by 2020(国際化の指標を2020年度までに2倍)」とする新たな戦略をここに提示するものである。
なお、この「国際戦略」は2020年度(平成32年度)に向け本学の国際化の方策を提示するもので、平成27年度までの第二期中期計画に続く次期の第三期中期計画期間の平成28年度以降においても継続して取り組んでいくよう、中長期的視点を持って策定する。
また、海外大学との連携による国際大学院の設置や海外へのキャンパス展開等国際化の更なる進展を目指すため、またその取り組みのスピードを加速させるために、本戦略の見直しを適宜行うものとする。
1.京都大学の国際化推進の基本理念
京都大学の基本理念(平成13年12月4日制定)は、その前文において、「創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎に、ここに基本理念を定める。」と掲げている。
新しい国際戦略もこれを前提とし、「地球規模の視野と多様な地域文化への理解と敬意を根底にすえた教育研究の伝統」および「京都における1200年に及ぶ東西交流が生みだした重層的な文化の蓄積」、そして「京都大学が培ってきた、新しいパラダイムを提唱できる独創力」を原動力としていくことを国際化推進の基本理念とする。
この国際戦略では、その推進にあたり実現すべき3つの基本目標を掲げ、その実現に向けた具体的な施策と目標、さらに当面、重点的に実施すべき施策を策定する。
また、この国際戦略の実施にあたっては、全学的な観点と中長期的な視点で必要な施策について検討し具体化するために、役員会の諮問に応じる「国際戦略委員会(仮称)」を新たに設置するとともに、国際交流推進機構および国際関係事務体制の機能強化を図る等、2020年に本学が真の「国際化」の実現を目指すための体制を抜本的に強化する。
2.基本目標
2-1.研究-世界的に卓越した国際競争力のある研究の推進-
京都大学は、日本を代表する研究大学として世界から高い評価を受けてきた。しかしながら、昨今の大学間グローバル競争の激化の中で、世界における相対的な評価が低下し続けており、その大きな要因は本学の国際化の遅れにあると言える。
基本理念に掲げる「世界的に卓越した知の創造」を目指して、世界をリードする学術研究を推進し、世界レベルの研究競争を勝ち抜いていくことは、本学の使命であり、世界的に卓越した国際競争力ある研究を推進していく必要がある。
このためには、国際的な大学間連携や国際共同研究の促進、若手人材の海外派遣や外国人研究者の採用等、研究人材の国際化を積極的に推進するとともに、優れた研究成果の国際情報発信により世界的な評価を高めていくことが必要である。さらに海外の研究者からも魅力と実力ある大学として評価される中で、個々の研究者が自由闊達な研究を推進し、成果を世界に問える環境整備を行っていくことが肝要である。
2-2.教育-世界に通用する国際力豊かな人材の育成-
京都大学は、国際社会において、リーダーとして世界を牽引する異文化理解力、英語での交渉力、専門活用力を併せ持つ国際力豊かな人材を育成し輩出していく責任があり、世界水準の教育を提供する必要がある。このため、海外大学との学術・学生交流協定、国際的なネットワーク等の活動を通した教育連携を進め質の保証を行いつつ、学生の海外派遣制度充実、留学生の受け入れ体制強化、留学生と日本人学生がともに学べる英語による講義の増加等の多様なプログラムを組成することにより、国際的なリーダーに必要不可欠な「国際性・課題解決力」を涵養する。
2-3.国際貢献-地球社会の調和ある共存に資する国際貢献の推進-
京都大学は日本を代表とする総合研究大学として、また、国際社会を構成する一員として、研究の成果と教育による人材育成を様々な形で国際社会に還元する国際貢献が求められている。
特に、地球規模での課題である人口問題、食糧問題、環境問題、資源・エネルギー問題、医療問題等の解決において、本学の優れた研究成果を基にした課題解決のための研究開発、医療人材や技術の提供、国際的な産学連携による海外への技術移転、留学生を含むグローバル人材の育成と輩出等の人的資源による国際貢献、長年にわたり蓄積されてきた国際的なネットワーク等の総合力を駆使して、地球社会に一層の貢献を果たしていく。
3.施策と数値等目標
研究・教育・国際貢献の分野での施策と数値等目標を設定する。
3-1.世界的に卓越した国際競争力のある研究推進のために
- 国際競争力ある海外大学等との国際共同研究の推進
国際的な研究力の指標のひとつである「世界大学ランキング」を向上させることは極めて重要である。中でも指標項目のうち、とりわけ大きな比重を占める国際共著論文数と被引用数の増加に向けた取り組みとして、国際競争力のある海外大学等との国際的な共同研究を推進する。 - 若手研究者の海外派遣支援の強化
海外大学等で研究を進めることにより、研究者が国際的な研究者ネットワークを構築することや学術的なグローバルマインドに磨きをかけることを推奨する。
特に若手研究者の海外派遣を促進することを目的とした「ジョン万プログラム」の拡充・整備をはじめとして、若手研究者(博士後期課程学生・ポスドク・特別研究員等を含む。)の海外派遣を推進する。 - 外国人研究者・外国人教員の受け入れ体制・制度の充実
外国人教員の積極的な雇用に対応するため、外国人研究者の受け入れ環境を整備し、外国人研究者用宿泊施設等のインフラをはじめとする生活支援体制の充実を図る。
また、年俸制等の柔軟な雇用制度の導入や、研究者採用における国際公募の充実を図るとともに、国際シンポジウム等での積極的な招へいを行い、短期・長期の外国人研究者の年間受け入れ数6,000人、外国人教員数500人を目指す。(平成23年度年間受け入れ外国人研究者数2,950人、平成24年5月1日現在外国人教員数240人) - 世界トップレベルの研究拠点の形成
世界をリードする学術研究を推進し、世界から第一線級の研究者が集まり、優れた研究環境と高い研究水準を誇る世界トップレベルの研究拠点の形成を推進していく。 - 国際シンポジウムの開催等による大学のレピュテーションの向上
国際社会における本学のプレゼンス向上から、国際共同研究の推進に寄与することを目的として、学術成果の世界への発信・広報、ならびに海外大学等との教育・研究の連携体制の強化を図るため、大学主催の国際シンポジウムを毎年5回程度開催することを目指す。 - 大学間国際ネットワークの強化
APRU(環太平洋大学協会)、AEARU (東アジア研究型大学協会)をはじめとする本学が参加する大学間国際コンソーシアムを介した積極的な国際ネットワークの構築を図るとともに、連携強化を進める。 - 研究者(頭脳)の好循環のための環境整備の充実
本学から多くの研究者が海外に転出している。これらの研究者が再び本学に戻り、海外経験を活かした教育研究活動ができるよう、国際的にも魅力ある研究環境や待遇等の整備・充実を進める。
3-2.世界に通用する国際力豊かな人材育成のために
- 学生の海外留学者数の増加
学生交流協定締結の促進、奨学金制度の拡充、留学前相談体制の充実等を通して、「ジョン万プログラム」をはじめとする多様な留学プログラム(短期留学を含む)を実施する。学生の海外留学者数について、中長期留学で600人(平成23年度実績235人)、短期留学で1,000人(平成23年度実績544人)を目指す。 - 学生の英語能力の強化
国際社会における優秀なリーダーを輩出するため、学部卒業時までに英語能力を測る指標のひとつであるTOEFL iBTで80点以上(IELTSの場合は6.0点以上)を達成する学生の比率50%を目指す。 - 国際インターンシップの推進
海外において就業体験を積むことで、併せて効果的なキャリアパス形成の一助とすべく、国内外の研究機関や企業と連携しながら、中長期にわたる国際的なインターンシップを一層進める。 - 留学生の質保証と受け入れ数および国・地域数の増加
留学生の受け入れ環境を整備し、授業料免除枠の増加等による経費支弁のほか、留学生用宿泊施設等のインフラをはじめとする生活支援体制を充実させ、学位取得・コース認定型の留学生数 4,000人(平成24年度実績1,912人)、受け入れ交換留学生数300人(平成24年度実績170人)を目指す。 - 全学共通科目・専門科目の英語による講義の増加と充実
教育の国際化を一層加速し、留学生と日本人学生がともに学べる機会を増やすため、全学共通科目・専門科目について英語による講義の実施率30%を目指す。 (平成24年度実績 5.1%) - ICTを活用した英語による講義
学術交流協定校との遠隔講義システムによる講義等、ICTを活用した教育を推進する。 - 系統講義「京都で学ぶ日本学・アジア学」の開設
京都にある本学の特色を活かし、留学生が日本理解を深め、かつ日本人学生が日本について英語で語れるよう、系統講義「京都で学ぶ日本学・アジア学」を開設する。また、これについては課外授業を広範に提供するとともに、付随して日本語・日本文化教育等の留学生教育を拡充する。
3-3.地球社会の調和ある共存に資する国際貢献の推進
- 教育研究による国際貢献
留学生を含む優秀なグローバル人材の輩出、優れた研究成果による地球規模での解決に向けた取り組みによる国際貢献を推進する。 - 国際産学連携の推進
本学の優れた研究成果を活用した海外の有力大学やTLO等との連携強化による国際的企業との技術移転および国際共同研究を推進する。また、国際産学連携活動を通じ、人的交流による相互理解の醸成や異文化・異分野との融合による研究活動の新たな展開、それに伴う教育の活性化、国際的な人材育成を推進する。 - 国際産学連携ネットワークの構築
国際的な知的財産の戦略的確保や技術移転活動を進めるため、欧米を中心とする海外有力大学やTLOとの連携、企業ニーズ紹介や仲介サービス等におけるシンクタンクの利用、同窓会組織の活用等により、グローバルで継続的かつ実効的な人的ネットワークおよび情報収集・発信ネットワークを構築する。 - シニアアカデミー制度による国際貢献
本学の名誉教授により組織化するSAKU(Senior Academy of Kyoto University)を制度化し、海外大学や本学の海外拠点等に派遣することによる国際貢献を推進する。 - 国際的な医療貢献
医療体制・制度の整備が十分でない海外の地域への医療貢献として、医療スタッフや医療技術による国際貢献を推進する。
3-4.当面の重点施策について
研究・教育・国際貢献という観点から、上記のとおりそれぞれの施策を列挙したが、そのうち、早急な対応が求められている事項等について、当面の重点施策として積極的に取り組む。
- 学生・教員・職員の国際化の推進
学生に多くの留学の機会を与えることは、国際人を養成する大学の必須のミッションである。また、学生のグローバル化には教員・職員の国際化が不可欠である。
これらの目的のために実施している「ジョン万プログラム」は、学生派遣に関しては、多様な学生ニーズを踏まえ短中期から長期にわたる派遣プログラムとなっており、また教員や職員派遣に関しては、派遣元の研究室や部署にも人件費等を支援する制度も措置されている。今後はこのプログラムをさらに発展・充実させる。
なお、職員の海外派遣等により国際的な資質を高め、一定の英語力(TOEIC800点以上)を有する職員数140名を目指す。(平成23年度49名)
また、本学の教員が本務を離れ、海外大学等において共同研究等を行う機会となるサバティカル制度の普及を図る。 - 世界大学ランキングへの対応
THE (Times Higher Education World University Rankings)をはじめとした「世界大学ランキング」に関しては、時にその意義についての疑義が唱えられ、またその評価自体にも様々なバイアスがあることは周知のことである。しかし、国際交流の相手大学からの対応や、優秀な留学生の獲得、競争資金の取得等に一定の影響があり無視はできない。結果として、世界大学ランキングを上昇させる努力をすることが、本学の総合的な国際力を高めることに繋がることから、「世界大学ランキング」に対しては向上を目指す。
THEをはじめ多くの世界大学ランキングで用いられている評価としては、研究においては被引用数(サイテーション数)・論文数や競争的研究資金等の数値指標、教育においては博士学位取得者比率等の指標が、そして国際化においては外国人教員比率・留学生比率等の統計指標が基本であり、研究・教育に対する直接的なレピュテーション、当該大学卒業生を雇用した企業のレピュテーション等も大きな比率を占める。これらの外形的な指標の向上を意識しつつも、本学が世界から信頼される大学であり続けるためには、優れた研究者や学生を国内外から獲得し、学生・研究者・教職員の国際的流動性を高めることで、国際共同研究の更なる活性化を目指すことが何よりも肝要であると考える。国際共同研究のパフォーマンスは、国際共著論文比率の指標で代表されることから、本学における現状の30%弱の国際共著論文比率を2020年までに60%とすることを目標として掲げ、大学としての様々な構造的・重層的な取り組みを実施していく。さらにこれらの国際化指標に関するデータを日常的・リアルタイムに共有し企画力に結びつけていくことのできるデータ・リテラシに富む人材を備え、世界大学ランキングの結果分析と学内へのフィードバックの役割を担い、さらに改善すべき対策を検討し実施していくための組織を設置する。
このような取り組みにより、WPUとしてTHEの世界大学ランキングTOP10入りに挑戦する。 - 国際化推進に必要なインフラの充実
外国人研究者や留学生のための宿泊施設やICT環境、学内施設のサイン等各種インフラの整備充実を図る。
外国人研究者・留学生用宿泊施設の充実については、民間資金等多様な整備手法を活用して800戸(現状約400戸)を整備するとともに、宿泊施設の管理運営について外部委託等を含めサービス向上に資する手法を導入する。また、外国人研究者宿舎と職員宿舎の一体的整備も推進する。
留学生対応のため、教務事務等の窓口事務の英語化を推進するとともに、入学願書提出のオンライン化、留学生入学相談等窓口の集中化(AAOの充実と併せて実施)および受講登録等のKULASISの英語併記化を実施する。
人事や経理等の学内の様々な事務文書の英語化を計画的に推進する。
海外での本学の活動支援のため、設置への投資が効果的となる場所を厳選しつつ、全学的な海外拠点5カ所の設置を目指す(平成25年4月現在2カ所)。 - 学術交流協定および学生交流協定締結の推進
学術交流協定および学生交流協定は、国際共同研究の推進、学生や教職員を含む人的交流の基礎となるが、本学は我が国の主要な大学の中でも協定数が少ない。そのため平成25年1月には協定締結基準の見直しを行い、地域性や将来性等を踏まえつつ、柔軟な締結を可能としている。今後、学術交流協定・学生交流協定の締結数を拡大し、学術交流協定締結200件(平成24年9月現在93件)、学生交流協定締結150件(平成25年4月現在69件)を目指す。 - 海外大学・研究機関・企業との連携強化と機能強化
本学の知的財産を海外企業へ技術移転、海外大学・研究機関・企業との連携強化を図るためには、国際的な知識・経験のみならず専門的な知識も必要であり、その両方の能力を有する人材の確保が不可欠である。
このため、国際法務職員や国際技術移転職員の雇用と配置を積極的に進めるとともに、海外拠点の拡充を図り、それらの専門性の高い職員と現地スタッフとの密なるネットワークを構築し、積極的な海外技術移転を展開する。 - 海外同窓会の充実・機能強化
海外在住の本学OB・OGとの連携を密にし、加えて本学のプレゼンス向上に資するため、海外同窓会の充実と機能強化を図る。そのため、海外拠点、大学間学術交流協定校との連携強化、海外同窓会と帰国留学生との連携推進を柱として機能強化に取り組む。 - 危機管理体制の整備
国際化にともなう学生、教職員にかかる海外渡航、および、外国人研究者や留学生の危機管理支援のための全学的な対応に取り組む。 - 国際戦略推進および事務組織の体制等の強化
国際戦略推進体制の強化と国際関係事務組織体制の機能強化を図るため、国際化を戦略的に推進する組織の体制整備を行う。(詳細は「5.施策実現に必要な体制等の強化」で記載)
4.部局における国際化の推進と支援
京都大学の国際化推進は、従来から各部局において、長い歴史の中で連綿と続けられ、その教育研究分野独自の特色ある国際交流活動が多数存在している。とりわけ、GCOE等による学生や研究者の交流等において、多くの成果が上がっており、このような取り組みが持続され発展していくことが期待されている。
今後も世界各地域の様々な大学や研究者との信頼関係を基にした部局の自発的な国際化事業がますます展開されることを期待するものであり、本学の国際化はまさにこの部局独自の多様な国際活動にかかっていると言える。
これまで各部局が実施してきた様々な国際活動がより円滑に展開できるように、大学はこれを支援していく。
このため、役員会の諮問に応じるために設置する「国際戦略委員会(仮称)」は、部局がその多様性を維持しつつ、大学全体と一体感を持ち目標達成に向けこの国際戦略を推進していくために、国際担当理事を中心とした強力な実行力と支援・調整機能を併せ持つ必要がある。
5.施策実現に必要な体制等の強化
5-1.国際戦略推進体制の強化
2020年に京都大学が真の「国際化」の実現を目指すための国際戦略を着実に推進するための体制を強化する。
- 国際戦略委員会(仮称)の設置
本学の国際化に関し、全学的および中長期的な視点で必要な施策について検討し実施への方策を示すため、役員会の諮問に応じるため、関係する理事および教育院等の長、ならびに部局長等で組織する「国際戦略委員会(仮称)」を設置する。 - 国際交流推進機構の機能強化
本学の国際交流の推進を図るための全学組織である国際交流推進機構について、委員会の在り方を含めて、抜本的な機能強化を図る。- 国際企画機能
大学世界ランキングの指標分析、向上のための対応策検討、実施に向けた取り組みを行うとともに、各種情報の収集、分析を基に本学の国際化環境向上に向けた諸施策の企画提言を図る。また大学間国際ネットワークの強化推進に向けた取り組みや国際シンポジウムの企画・実施を行う。 - 国際支援機能
学生、研究者の海外派遣および受け入れに関する各種支援策の策定および実施、さらにAAO機能の強化を図る。
- 国際企画機能
5-2.国際関係事務組織体制の整備と機能強化
京都大学の国際関係支援業務を担う全学の事務組織の体制見直しと効率化による機能強化を図る。また国際化を推進する専門業務職員の配置・組織化について促進していく。
- 国際関係事務組織の機能強化
国際交流・留学生関係の事務体制に関し、事務本部(国際交流課、留学生課)と共通事務部等の国際関係事務組織の機能強化を図るとともに、本部と部局事務の組織的連携を強化する。その際本部と部局のサテライト化の導入の検討や語学対応職員(外部人材を含む。)の適切な配置等による機能強化を推進する。 - 国際関係事務処理の高度化
国際関係事務の効果的・効率的対応を可能とするため、業務の一元的な集中処理(ICT化を含む。)やマニュアル化、職員のスキルアップ等研修を通し機能強化を推進する。また、事務手続きの国際化の観点から、事務等文書の英文化を進め、特に、KULASISの英語併記は早急に実施する。 - 国際関係専門業務職員の組織的配置
国際化推進のため国際交流推進機構の機能強化、国際関係諸事業、プロジェクト実施推進することを主な業務とする専門業務職員の組織を新たに構成し、学術研究支援室、部局URAと連携を強化しつつ、国際交流推進機構、研究国際部関係部署の業務を横断的に所掌する。
5-3.国際化推進のためのICT技術の積極的活用
国際社会への情報発信、海外大学等とのネットによる繋がり、教育研究活動上の膨大なデータの活用等、ICT技術の活用により国際化をさらに推進する。
- 国際社会への情報発信力の強化
本学の外国語ホームページを充実させるとともに、外国語広報誌の効果的な配信により、情報発信力の強化を行う。
また、外国語のOCWやMOOCs等のインターネットメディアによる研究・教育内容の国際的な発信を積極的に行い、海外の研究者・学生への本学からの知的情報伝達の機会を充実させる。 - 持続可能な環境配慮型キャンパスに関する国際ネットワークの構築
持続可能な環境配慮型キャンパス(サスティナブルキャンパス)を整備するため、欧米等の先進大学やネットワークとの連携を強化する。具体的には、本学独自のサスティナブルキャンパス構築の取り組みを世界に発信するためのWEBサイトを構築するとともに、国内外の先進大学が参加する国際会議を主催する。 - 国際戦略におけるICT技術の積極的活用
国際戦略の実行に重要な様々な国際化指標データの収集と分析に必要となる教育研究活動データベースや海外大学の動向等の分析ツールの活用、また外国人研究者や留学生等の受け入れ業務や統計データ処理、さらに海外大学等とのネットによる講義やミーティングの実施等、国際化推進にICT技術を積極的に活用する。
脚注
国際公募
国際公募のあり方は部局・分野によって異なるため定義の一元化は困難であるが、「英語(外国語)による募集要項の作成」および「海外から情報が得やすいメディアへの募集要項の掲示」の両方の条件を満たすことが最低限必要である。
短期・長期の外国人研究者の年間受け入れ数
毎年実施される、文部科学省による「国際研究交流状況調査」にて集計している受け入れ研究者数。具体的には、本学で雇用(非常勤も含む)している外国人教員・研究員等の数、および共同研究・学会・講演会・シンポジウム等で招へい・来日した外国人研究者数の合計。ただし、国内の他大学に招へいされている外国人研究者を本学に講演等に招いた場合や一般企業の研究者に講義等を依頼した場合、本学への来訪目的が研究活動以外の場合(例:表敬訪問等)は対象外である。
外国人教員数
京都大学概要に掲載されている外国人教員数。具体的には、国立大学法人京都大学教職員就業規則に基づき雇用された一般教員(外国人)・国立大学法人京都大学特定有期雇用教職員就業規則に基づき雇用した特定有期雇用教員(外国人)【特定研究員を含む】・国立大学法人京都大学外国人教師就業規則に基づき雇用した外国人教師の合計数
学位取得・コース認定型の留学生数
本学において学位の取得または特定の研究内容を修めるために入学した留学生の合計。具体的には学部・大学院に正規学生として在籍している外国人留学生、研究生のうち外国人留学生および短期交流学生の合計
受け入れ交換留学生数
大学間交流協定に基づき、海外の他大学に在籍しながら、本学にて短期間授業等を履修し、その成果を母校に持って帰り、母校にて学位取得を目指す留学生等の数。具体的には大学間交流協定に基づき受け入れる特別研究学生および特別聴講学生の合計
TLO
Technology Licensing Organizationの略で、大学の研究者の研究成果を特許化し、それを企業へ技術移転する法人(技術移転機関)。
京都大学は関西TLOと技術移転に関する基本契約の締結しており、特許のマーケティング(技術移転)が関西TLOに委託されている。
AAO
Admissions Assistance Office(アドミッション支援オフィス)の略で、京都大学に研究生または大学院生として留学を希望する志願者の出願手続きを、より円滑に行うことを目的として設置された部署。
現在は中国大陸、香港、台湾の大学を卒業し(または卒業見込みで)、本学の研究生または大学院入学を志望する者を対象としていて、専任スタッフを配置のうえ学歴検証も含めて(中国大陸に限る)対応を行っている。
KULASIS
Kyoto University's Liberal Arts Syllabus Information Systemの略で、授業情報のWEB掲示・オンライン履修登録・成績関係処理(教員の採点処理および学生による成績確認)等、学生の履修・成績にかかる処理・通知をWEB上で行うシステムである。
国際法務職員
海外機関との英文契約書について、規定・語彙を調整し、先方機関と契約交渉する職員(弁護士資格のある者または相当の者)
国際技術移転職員
海外機関へ京都大学が保有する特許等知的財産のライセンス等について交渉する職員(国際ビジネスに精通している者)
URA
University Research Administratorの略で、研究者とともに研究活動の企画・マネジメント、研究成果活用促進を行うことにより、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える研究支援業務に従事する人材
本学では、本部に学術研究支援室を設置している他、地区事務部ごとに部局URAを配置し、有機的なネットワークを構築し、研究支援を行っている。
OCW
Open Course Wareの略で、学内で実際に利用している講義教材をインターネットで公開するプロジェクト。学内関係者のみならず、高校生や社会人、海外に在住の方等、あらゆる方に対し京都大学の講義内容を知っていただき、門戸を広げることを目的としている。
MOOCs
Massive Open Online Coursesの略で、大規模公開オンライン授業のことである。このシステムはOCWと異なり、宿題や試験があり、状況に応じて履修証明書の発行等も可能となるシステムである。
関連リンク
- 国際交流推進機構ホームページ
http://www.opir.kyoto-u.ac.jp/