玉城嘉十郎先生は京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さで他界されましたが、ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄附をいただき、先生を記念して毎年公開の学術講演会を開催しています。第1回は1969年秋、以後55年、回を重ねること今回で63回に達しました。テーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生の参加も多く、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しています。
基本情報
開催地
- 吉田キャンパス
北部総合教育研究棟 益川ホール(北部構内マップ[13])
対象
- 在学生の方
- 一般・地域の方
大学生(学部生・大学院生)、教員、一般の方
参加費
無料
イベント内容
テーマ
物質合成の深化
プログラム
14時00分~14時10分 | 開会挨拶 |
14時10分~15時10分 | 「メゾスケール超分子化学」矢貝 史樹 千葉大学国際高等研究基幹教授 原子を共有結合で繋ぐと分子や高分子を作ることができますが、それらは共有結合の回転によりナノスケールにおける様々なカタチ(conformation)を形成します。このカタチは、分子や高分子が様々な性質を示す上で重要な要素の一つです。私たちの研究室は、同様の仕組みを、分子を集めることで実現できないか?と考えています。分子を集める化学を超分子化学と言いますが、超分子化学を駆使して、メゾスケールと呼ばれるより大きなスケールで分子や高分子が作るカタチを再現しようとしています。スケールが大きな超分子は、分子のようにカタチに由来する性質を示すのでしょうか?その問いを探求する旅まだ始まったばかりですが、いくつかの興味深い研究事例をご紹介します。 |
15時20分~16時20分 | 「化学反応の理解と予測」前田 理 北海道大学化学反応創成研究拠長(WPI分~ICReDD) 化学反応は、安価な原料を有用な薬剤や材料へと変換する手段です。その人類社会への貢献は計り知れません。しかしながら、化学反応の開発には莫大なコストがかかっています。そこで、コンピュータと量子化学計算を用いた理解と予測に期待が集まっています。理解と予測に立脚した効率的な化学反応開発が可能になれば、開発コストの問題は大幅に解消されると考えられるためです。また、その実現は、量子力学誕生以来の夢の一つと位置付けることもできます。本講演では、その最先端研究について紹介します。特に、前提知識を必要としない理解と予測を初めて可能にした化学反応の反応経路ネットワーク表現について、計算手法の概要とその開発におけるブレークスルーを解説します。また、近年急速に発展した人工知能や機械学習といった技術の活用、コンピュータと有機合成の連携による理解と予測に基づく化学反応開発の実例、現状の課題や限界などについても議論します。 |
16時20分~16時30分 | 閉会挨拶 |
お問い合わせ
理学研究科 SACRA 広報・社会連携部門
Fax:075-753-9410
E-mail:050cr*mail2.adm.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
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