平成26年10月
国立大学法人京都大学
国立大学法人は、国民の皆様に対し財政状態および運営状況についての説明責任を果たすとともに、自らの状況を客観的に把握する観点から、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、利益の処分(損失の処理)に関する書類、キャッシュ・フロー計算書、国立大学法人等業務実施コスト計算書およびこれらの附属明細書等)の作成および公表が義務付けられています。
今般、平成26年9月25日付けで本学の平成25事業年度財務諸表が文部科学大臣の承認を受けましたので、ここに開示しますとともに、決算の概要を説明します。
平成25事業年度決算の概要
全体の概要
平成25事業年度決算の概要として、国立大学法人の基盤的財源である運営費交付金は、平成23事業年度から引き続き、大学改革促進係数による減額が実施されたほか、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」に基づく国家公務員の給与削減相当額の減額が行われました。このような厳しい財政状況下において、受託研究等の外部資金の積極的な獲得や、診療体制の整備などによって病院収入の増加を図ることにより財源を確保することはもちろんのこと、学内予算配分の抜本的見直しを行うなどの財務体質の強化・改善のための取り組みによって財政基盤を安定させ、教育・研究等における取り組みを実施するとともに、教育・研究・医療の質の維持・向上を図る取り組みを実施しました。
平成25事業年度における主な取り組みとしては、教養・共通教育の企画、調整および実施等を一元的に所掌する全学組織としての国際高等教育院や、次世代を担うグローバルリーダーの育成を目的とした大学院総合生存学館(思修館)を設置しました。また、社会・経済のグローバル化が急速に進む中で、本学が世界に卓越した知を創造する大学として一層の発展をなし、世界トップレベルの大学としての地位を確立することを目標に京都大学の国際戦略「2x by 2020」を策定しました。この戦略は、2020年までに国際化指標を2倍にし、この数値に裏付けられる「真の国際化」を目指すものです。その理念を踏まえ、若手研究者・若手職員・学生を海外の大学などの研究機関へ派遣し国際共同研究や海外研修等の経験を積ませることにより、グローバルな研究活動等を展開、推進できるようにするための事業(京都大学若手人材海外派遣事業「ジョン万プログラム」)等を実施しました。
これらの結果、事業規模は、経常収益が約1,500億円で前事業年度と比べ約33億円増加し、経常費用も約1,481億円で前事業年度と比べ約36億円増加しました。
貸借対照表の概要
資産の部
資産の合計は、約5,035億円で前事業年度より約70億円増加しています。主な増加の要因は、現物寄附を受けた(桂)イノベーションプラザ棟、施設整備事業として行った(吉田)メディアセンター北館改修および(南部)総合研究棟(旧総合解剖センター)改修等による建物等の増加や、附属農場移転先(木津川)の土地購入および国際イノベーション拠点施設新営工事等による建設仮勘定の増加等によるものです。
負債の部
負債の合計は、約1,787億円で、前事業年度より約17億円増加しています。主な増加の要因は、運営費交付金等で固定資産(償却資産)を取得した際に取得原価相当額を計上する資産見返負債の増加や、寄附金の受入額の増加に伴う寄附金債務の増加等によるものです。
純資産の部
純資産の合計は、約3,248億円で前事業年度より約53億円増加しています。主な増加の要因は、施設整備費補助金や目的積立金等で取得した固定資産の取得原価相当額を計上する資本剰余金の増加等によるものです。
当期未処分利益は、附属病院に関する借入金の償還期間と借入金により取得した資産の減価償却期間のずれ等から生じる将来に発生する損失を補填する額約17億円と、本学の運営努力により生じた額約0.4億円からなります。これらは、別途、文部科学大臣の承認を受けた後、本学の運営努力から生じた額については、第2期中期計画に沿って、教育研究診療等の質の向上のために活用していきます。
損益計算書の概要
費用
費用の合計は、約1,485億円で、前事業年度より約30億円増加しています。主な増加の要因は、国や独立行政法人からの受託研究費等の受入額の増加に伴う費用の増加や、授業料免除枠の拡大による奨学費の増加および教育目的の建物の改修工事に伴う付随費用の増加による教育経費の増加等によるものです。
収益
収益の合計は、約1,502億円で、前事業年度より約30億円増加しています。主な増加の要因は、国や独立行政法人からの受託研究費等の受入額の増加や、外来患者数の増加および入院・外来における患者1人当たりの単価の上昇等により生じた附属病院収益の増加等によるものです。
平成25事業年度の決算の概要は以上のとおりです。詳細につきましては、開示しました財務諸表等、および各ステークホルダーの皆様に向けての財務に関する運営状況を取りまとめたファイナンシャルレポート2014をご覧ください。