直線型からジグザグ型へ 高い電荷移動度を示す高分子材料の開発に成功

直線型からジグザグ型へ 高い電荷移動度を示す高分子材料の開発に成功

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用語説明

π共役ポリマー

電気伝導性を持つ高分子化合物の呼称である。共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な物質としてはポリアセチレン、ポリチオフェン類などが挙げられる。「導電性」と呼ばれているが、実際の性質は導体というより半導体であり、高分子半導体などと呼ぶ場合もある。

電荷移動度

固体の物質中での電荷の移動のしやすさを示す量のこと。

有機半導体材料

半導体の特性を示す有機材料のことである。無機材料と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型半導体と、電子をキャリアとして伝導するn型半導体がある。近年、有機半導体を使った有機トランジスタの開発が活発化している。

高分子系半導体材料

高分子系の有機半導体も開発されている。低分子に比べて、溶液からの塗布工程に向くという利点がある。

シクロデキストリン

数分子のD-グルコースがグルコシド結合によって結合し、環状構造をとった環状オリゴ糖の一種である。

アモルファスシリコン

ケイ素を主とする非晶質半導体のこと。製膜が容易などの特徴を持ち、薄膜トランジスタや太陽電池などに応用されている。

分子軌道

原子核の周りにはそれに付随した電子が存在するが、その存在の様子は幾何学的な形をとる原子軌道から理解できる。分子軌道とは分子上に存在する電子の状態を幾何学的に理解するため、原子軌道を重ね合わせて、目で見て分かるようにした一つの表現方法である。

時間分解マイクロ波伝導度測定

光や放射線パルスを有機物に照射すると短寿命の電荷が生じ、その電荷がマイクロ波と相互作用してマイクロ波のパワーが減少する。この現象を観察し、電荷の時間挙動やナノスケールの電荷キャリアの局所的な振動速度を評価する手法。

時間依存型の量子力学計算

量子力学は電子の運動状態を記述する力学体系であり、その波動方程式(シュレーディンガー方程式)は量子力学的粒子のエネルギーを与える時間非依存型と量子力学的波動の運動の様子を記述する時間依存型とがある。

分子デバイス

高度情報社会を支える電子デバイスは、金属や半導体のバルク材料で製造されている。デバイスをどんどん小さくすると、有機分子を一つの最小単位としてとらえることができ、個々の有機分子をデバイスとして動かす素子を分子デバイスと呼ぶ。