白石 隆名誉教授が紫綬褒章を受章(2007年4月29日)

白石 隆名誉教授が紫綬褒章を受章(2007年4月29日)
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 このたび、我が国学術の発展のため顕著な功績を挙げたことにより、白石 隆名誉教授に紫綬褒章が授与されました。

 以下に略歴、業績等を紹介します。

 白石 隆 名誉教授は、昭和47年に東京大学教養学部を卒業後、同大学助手、助教授を経て、同62年にはコーネル大学助教授、平成8年1月に同教授に就任した後、同年7月に京都大学東南アジア研究センター教授に着任した。平成17年退職し、京都大学名誉教授となりました。

 同名誉教授の業績は、歴史的視点からインドネシアを中心とした東南アジア、さらにはアジアの政治秩序の有り様を立体的に浮かび上がらせたこと、更には東アジア共同体の底流にある社会・経済・文化的な同一化の動きを多面的に分析したことです。

 インドネシア政治研究では、主著にAn Age in Motion: Popular Radicalism in Java, 1912 – 1926(1991年大平正芳記念賞受賞)、『インドネシア 国家と政治』(1992年サントリー学芸賞受賞)、『スカルノとスハルト』があります。また、東南アジア、広くはアジアに関する研究では、カッツェンスタインとの編著Network Power: Japan and Asia、それに続くBeyond Japan: The Dynamics of East Asian Regionalism、更には『海の帝国 アジアをどう考えるか』(2000年読売・吉野作造賞受賞)が代表的作品です。

 こうした顕著な学術的業績と並んで、コーネル大学発行のIndonesia誌の編集者(1987年~)、シンガポール東南アジア研究所発行のSojourn誌(1999年~)のアドバイザリーボードメンバーになるなど、東南アジア地域研究の学術的発展に努めました。国内では財務省・東アジア研究会委員、中央教育審議会大学分科会専門委員などの公的機関委員、読売新聞客員研究員などの民間団体の役職につき、日本と東南アジア関係について政策的提言を積極的に行ってきました。東南アジア研究所においては、日本とタイの間の日本学術振興会拠点大学方式による学術交流事業(1999年~)のコーディネーターとして、また共同研究「知的ヘゲモニーの構造(仕掛け)-テクノクラシー」および「東アジアにおける中産階級」のリーダーとして強い指導力を発揮し、京都大学東南アジア研究所のみならず、日本の東南アジア地域研究の国際的存在感を高める上で重要な役割を果たしました。本受賞は東南アジア地域研究に対するこうした成果と貢献が高く評価されたことによります。