小林 四郎名誉教授が紫綬褒章を受章(2007年4月29日)

小林 四郎名誉教授が紫綬褒章を受章(2007年4月29日)
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 このたび、我が国学術の発展のため顕著な功績を挙げたことにより、小林四郎名誉教授に紫綬褒章が授与されました。

 以下に略歴、業績等を紹介します。

 小林 四郎 名誉教授は、昭和39年京都大学工学部合成化学科卒業、同41年同大学大学院工学研究科修士課程修了、博士課程に進学し、同44年京都大学工学博士の学位を授与されました。昭和44年から同46年までケース・ウェスタン・リザーブ大学博士研究員、同47年京都大学工学部助手、同60年同学部講師、同61年東北大学工学部教授を経て、平成9年京都大学大学院工学研究科に配置換、同17年に定年退職し京都大学名誉教授の称号が授与されました。本学退職後は京都工芸繊維大学特任教授となり今日に至っています。

 同名誉教授は、永年にわたって高分子化学の教育、研究に努め、特に有機化学に立脚した新規高分子合成手法の開拓とそれを利用する高分子新材料の開発に力を入れ、幾多の独創的研究成果を生み出し、日本の高分子合成分野の研究水準の向上に貢献しています。

 同名誉教授は、ヘテロ原子を含む環状モノマーの新規開環重合反応を開発し、新しい高分子材料へ展開しました。新触媒としての超強酸エステルの発見、無触媒共重合による数々の交互および周期重合反応の開拓等は先導的研究の好例です。また、低原子価化学種の還元能を反応駆動力とする新共重合反応を開拓しました。これにより、開環閉環交互共重合、官能基移動共重合、脱酸素共重合、1:1:α周期重合等、反応の新概念を提唱し、特異な高分子材料合成の新手法として注目されています。さらに、セルロースのような複雑な構造をもつ天然高分子の合成を、独自の着想により酵素触媒の特徴を巧みに活かした高分子合成反応(酵素触媒重合)の新手法を開拓しました。その系統的な研究展開により高分子合成の一般手法として新領域を創設し、本領域における最新の世界的な研究の隆盛をもたらしました。

 これら一連の研究業績に対し、高分子学会賞、セルロース学会賞、フンボルト研究賞、日本化学会進歩賞、服部報公会報公賞、ストーファー・レクチャー賞他が授与されました。活動は国際的にも活発であり、ノルトライン-ウェストファーリア州科学アカデミー外国人アカデミー会員に推挙され、また、マックス・プランク研究所の科学顧問を務めています。