佐和 隆光名誉教授が紫綬褒章を受章(2007年11月3日)

佐和 隆光名誉教授が紫綬褒章を受章(2007年11月3日)
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 このたび、我が国学術の発展のため顕著な功績を挙げたことにより、佐和 隆光名誉教授に紫綬褒章が授与されました。

 以下に略歴、業績等を紹介します。

 佐和 隆光 名誉教授は、昭和40年東京大学経済学部を卒業後、同大学大学院経済学研究科に進み修士課程を経て、博士課程で学び、同42年7月に東京大学経済学部助手に就任しました。学部在学中に書いた論文が理論計量経済学会誌に掲載され、修士論文が数本に分けて世界的専門誌に掲載されるなど、若くして数多くの業績を挙げ、昭和44年に博士論文を東京大学に提出すると同時に、京都大学経済研究所助教授に採用されました。同年、出版された『計量経済学の基礎』(東洋経済新報社)により、27歳の若さで日経出版図書文化賞に輝きました。昭和43年、米国ノースウェスタン大学で開催されたエコノメトリック・ソサエティ大会で発表した「マクロ計量経済モデルの各種推定量の小標本特性」に関する論文は学会の注目を集め、昭和45年から翌年にかけてスタンフォード大学のリサーチアソシエートに、また昭和50年から53年にかけてイリノイ大学客員教授に招聘され、計量経済学の方法に関する論文を量産し、昭和51年には、34歳の若さでエコノメトリック・ソサエティのフェローに選出されました。

 昭和53年に帰国してから後は、科学方法論の観点から経済学の分析枠組みについての考察、日本経済の構造分析、市場主義批判などの分野で多数の著書を刊行し、2007年現在、翻訳書、編著を含めて96冊の書物を刊行しています。平成2年以降は、その関心を環境経済学に傾斜させ、平成7年に環境経済政策学会を創設し、以来、10年間にわたり会長を務めました。また、平成18年に京都で開催された第3回環境経済学世界大会の組織委員長を務め、大会を成功に導きました。平成9年の国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議の直前に刊行された著書『地球温暖化を防ぐ』(岩波書店)は、二酸化炭素削減の経済影響に関する不朽の名著として、未だに版を重ねています。

 佐和名誉教授は政府の審議会委員を歴任し、とくに中央環境審議会委員を12年間務め、環境税の導入等について論陣を張っています。また交通政策審議会の環境部会長をも務めています。こうした審議会での発言を通じて、政府の環境政策に対しても少なからぬ影響を与えてきた功績もまた刮目に値します。今回の受賞は、これら一連の業績が高く評価されたことによるものです。