沢田 敏男名誉教授が文化勲章を受章
沢田敏男名誉教授は平成17年度文化勲章を受章され、去る11月3日宮中正殿松の間にてその親授式が行われました。農学研究科としては木原均(昭和23 年)、今西錦司(昭和54年)、満田久輝(平成6年)の各先生に次いでの喜ばしい受章であります。以下に沢田敏男名誉教授の略歴と業績を紹介いたします。
沢田敏男名誉教授は昭和17年9月京都帝国大学農学部を卒業の後兵役を経て昭和21年終戦後の京都帝国大学の研究嘱託となられました。その後岡山農業専門学校教授職を経て昭和34年には京都大学農学部教授に就任され、農業工学科・農業施設工学講座を昭和54年12月まで担当されました。
先生の研究の大要は今回受章の対象となっている農業水利を目的とする灌漑用ダムや取水堰・用排水路並びに干拓の諸施設の設計施工に関する理論考察と実践です。先生は昭和30年「浸透水の流動に関する研究」で農学博士の学位を得られましたが、これは貯水ダムの一つのタイプであるフィルダム建設の基礎をなす理論です。更にコンクリートで建設するダムに関しては1970年代から急発展した数倍値析法の積極活用に尽くされました。これらの成果の主なものは国営の農業水利事業で建設した永源寺ダムや呑吐ダムに実現しています。これらの業績に関し、昭和58年農業土木学会賞、昭和59年日本農学会賞の受賞があり、昭和62年の学士院賞(貯水ダムの設計に関する研究)へと続き、平成元年には学士院会員になられました。
また先生の文教行政に対する貢献は、昭和54年から昭和60年の間、第20代京都大学総長の重責を務められたことに始まり、昭和61年から平成7年まで(特殊法人)日本学術振興会の会長職を受けられ、この間昭和62年から4年間大学設置・学校法人審議会会長職を兼務され、その後平成8年から13年まで財団法人国際高等研究所長職へと続きました。このような業績に対し、平成3年には勲一等瑞宝章が授与され、平成6年には文化功労者顕彰を受けておられます。
最近、先生は農業水利の進展を通じた農村社会の豊かな発展を志向し都市と農村の共生に論及され、様々の分野で発言されています。これらの活動に対し平成15年には国際水田水環境工学会・国際賞も受賞されておられます。以上のご紹介をもって祝意といたします。