淡路 敏之(あわじ としゆき) 教育担当
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メッセージ
「海の資源・エネルギー開発」を夢見て、工学部、理学研究科で学び、その後は大学教員として海流や海洋気候学の基礎研究ならびにオールジャパンのプロジェクト研究に従事、ようやく実現のフェーズに入りました。その一つが独立行政法人 海洋研究開発機構と共同開発した4次元海洋統合情報解析空間「バーチャル海洋」です。地球シミュレータ上で駆動し、観測データと大循環数値モデルの最適融合を行ってプロダクトを創成し、海洋気候変動の高精度解析とメカニズムの解明や将来予測を行えるようになりました。例えば、エルニーニョのチャンピョン予測や発生の不規則性の解明、海面下5000m深層の温暖化の解明等に成功、現在は世界第6位のEEZを有する日本周辺海域の監視や全球海洋の階層的海況予測や重工業的色彩の強い地球科学研究成果の情報化と魅せる化・気づきの促進を本学の情報学研究者と協働中です。また、理事就任後には、本学が掲げる「未曾有の東日本大震災からの復興・再生」に寄与すべく、大津波で太平洋へ流出した漂流物の予測を日米連携協力のもとで実施するとともに、東北水産業の復興にお役に立てるよう、海水中の栄養塩やプランクトンなどの挙動予測が行える海洋・大気・低次生態系3圏データ同化システムを開発・適用して、ピンポイント好適漁場を探索する先進的漁業の実現の一翼を担っています。
このような研究開発は、本学が重視する「先見性とチャレンジ精神」に負うところが大きいと感じています。ご存知のように、本学は対話と交流を通して教養と専門の学芸を深め、自らの志に果敢にチャレンジするという伝統を重んじてきたところです。近時、社会はますます複雑化・グローバル化しており、培った学識を実社会で発揮するには、他分野を見渡す俯瞰力と自らの専門性を軸に諸学を束ねて活用しえる能力、異文化社会に耐えうる人間力と国際常識を身につけることが肝要です。これらのグローバル人材に求められる能力を涵養するには、総合大学の特色を活かした多様かつ調和のとれた学位プログラムを充実させることが重要であり、本年6月に文部科学省から公表された大学改革実行プランにおいても、入試改革とともに最重視されているところです。
未踏の領域を開拓してきた本学の知的教育環境を今後とも拡充し、学生の夢と志に応える京都大学としてますます発展できるよう、皆様のお力添えを今後ともお願いする次第です。
略歴
1972年3月 | 京都大学工学部(資源工学科)卒業 |
1974年3月 | 京都大学大学院理学研究科修士課程(地球物理学専攻)修了 |
1977年3月 | 京都大学大学院理学研究科博士課程(地球物理学専攻)単位取得 |
1981年7月 | 京都大学理学博士 |
1983年4月 | 高知県立高知女子大学生活理学科助教授 |
1990年4月 | 京都大学理学部助教授 |
1996年8月 | 京都大学大学院理学研究科教授 |
2006年4月 | 京都大学大学院理学研究科副研究科長、京都大学教育研究評議員 |
2008年10月 | 京都大学理事補 |
2010年10月 | 京都大学理事・副学長(教育担当) |
受賞
2011年 日本海洋学会 宇田賞
著書・論文
こちらよりご覧ください。
所属学会
日本海洋学会
米国地球物理学連合(American Geophysical Union)
米国気象学会(American Meteorological Society)
主な委員等
日本学術会議海洋物理学研連委員
日本学術会議海洋物理学研連データシンセシス小委員会委員長
科学技術会議専門委員
日本海洋学会評議員
宇宙開発委員会地球観測特別部会委員
WMO/IOC GODAE国際委員
WMO CLIVAR国際委員
IAPSO委員
東京大学海洋研究所協議会委員、
東京大学気候システム研究センター協議会委員
大学評価学位授与機構専門委員
財団法人 日本海洋科学振興財団理事
その他、文部科学省各種委員会の専門委員等を歴任