第12回京都大学国際シンポジウムを開催しました。(2008年12月5日・6日)

第12回京都大学国際シンポジウムを開催しました。(2008年12月5日・6日)

金所長の挨拶

 百周年時計台記念館において、「第12回京都大学国際シンポジウム: 変化する人種イメージ-表象から考える」を開催しました。京都大学国際シンポジウムは、本学が誇る独創的な学術研究を世界に語りかけ、国際的に開かれた大学としての活動を積極的に展開していくために、平成12年度以降毎年、世界各地で開催し、今回のシンポジウムは、京都大学教育研究振興財団及び日本学術会議の後援を得て、2日間で延べ約430人の参加がありました。悪天候にもかかわらず、内外の研究者や学生のみならず学界外からも多数の方々が集まり、大きな盛り上がりを見せました。

   シンポジウムは、5日午後、岩井茂樹人文科学研究所教授の総合司会のもと、松本紘総長及び金文京人文科学研究所長の挨拶によって開幕しました。続いての趣旨説明では、本シンポジウム実行委員長である竹沢泰子人文科学研究所教授から、「人種」と言われるものをめぐり現実感が生まれ、それが持続するしくみについて、欧米の学説とは異なる見解が示され、京都大学の特色を生かした文理融合型の対話を通して「差異」についての新たな考え方を探りたいとの呼びかけがありました。
  続いてエラ・ショハット ニューヨーク大学教授による「ステレオタイプ、表象、『リアルなもの』-方法論をめぐる提起」と題する基調講演、さらに学内外の研究者による発表、若手研究者によるリレートークが行われ、別室で行われたポスターセッションも活況を呈しました。

トロイ・ダスター教授の基調講演

 同日夕、国際交流ホールでのレセプションは、松本総長の挨拶、金所長の乾杯でスタート。本シンポジウムの発表者でもある石橋純東京大学総合文化研究科准教授とアンサンブル・セレステの皆さんがベネズエラ民族音楽を演奏し、明るいリズムに合わせて踊り出す人も現れて、和やかな親交の場となりました。

 2日目は、まず本学の横山俊夫国際交流推進機構長が歓迎の辞を述べ、本学の学風が、つねに現場に立つことを重視すること、またそこから生まれる独創的な発見を語る際に強い言語意識を発揮してきていることを、海外からのゲストに説明しました。その後、カリフォルニア大学バークレー校及びニューヨーク大学兼任の トロイ・ダスター教授による「人類遺伝学と人間の分類-流動性、連続性、変化」と題した基調講演をはじめ、マーガレット・スリーブーム=フォークナーサセックス大学教授、マーヴィン・スターリングインディアナ大学博士をはじめ内外の研究者7名による発表、それらを踏まえて田辺明生人文科学研究所准教授の司会による全体討論が行われ、講演者、発表者はもとより、ヒトゲノムの微細な差異の国際統計解析事業に関わる松田文彦 医学研究科教授を始め、各セッションの司会者も再登壇し、会場から提出された質問もとり入れつつ活発な意見交換が展開され、終了予定時刻を大幅に越えて熱気のうちに閉幕しました。その後、時計台内の京大サロンで交流会が開催され、講演者も交えて余韻を楽しみました。

 翌12月7日は、人文科学研究所において外国からの出席者を含む約20名による専門家会議が開かれ、理論化に向けてさらに掘り下げた議論が交わされ、京都大学国際シンポジウムの機会がさらに活かされることになりました。

松本紘総長の挨拶


総合司会の岩井教授

竹沢教授による趣旨説明

横山機構長の歓迎挨拶

松本総長の歓迎挨拶

エラ・ショハット教授の基調講演

ポスターセッション会場の様子

シンポジウム終了後の主要メンバーによる記念撮影

レセプション会場にて 石橋准教授とアンサンブル・セレステの皆さんによるベネズエラ民族音楽の演奏