聴講講義: City and Sounds in Kyoto
- 初回講義は「音空間」についての所見や経験談などを交えたディスカッションから始まり、2回目からはリーディング課題による理論的側面と実体験とを合わせたディスカッションがメインだった。いずれもサブカルチャー的な親しみやすい話題であったので内容的に特に高度だとは感じなかったが、毎回のリーディングの分量はなかなか読み応えがあった。また、日本(京都)における音空間体験という意味では、初めて日本に来たばかりのフレッシュなアメリカ人の感覚が聞けて面白かった。しかし、講義はどちらかというと「日本の音空間」に絞ったものではなく、「iPod culture」のような現代社会全体に焦点を当てていたものだったので、そこに日本という特別な要素が加わることで特殊と一般の区別という意味では少し一貫性を欠いた議論になってしまったと思う。クラスも全員で23人ほどの規模だったので、全体としてまとまりのあるディスカッションをするには少し多すぎる人数のように感じた。最終的には4、5人のグループに分かれて京都の音空間マップを作るというプロジェクトに収斂していったので、グループ毎のディスカッションは悪くなかった。また、水琴窟のある寺社へのフィールドトリップが早い段階に予定されていたが、火曜日は雨の日が続きなかなか行けなかったのは残念だった。早い段階でフィールドトリップなど外へ出る活動がある方がスタンフォード大生と個別に話す機会もでき、個人的には有為だと思う。授業全体での課題としては、毎回のリーディングに加え、中間に5枚ほどの短いエッセイ、学期末にグループ毎のプロジェクト発表という内容だったので、それほど重いものではなかった。聴講生は、自分の専門の授業とこちらの授業の両立もしやすかったと思う。先生が日本人だったこともあり、先生とのコミュニケーションで困ることはなく、何より親しみやすかった。一方、京都という場所の特殊性を活かすという意味では、もう一つといった感じだったと思う。
当初はクラスの人数が多いこともあり一部の学生としか交流ができなかったが、フィールドトリップなどを経るうちに次第に様々な人と話すことができ、楽しかった。特に、最後に先生含め学生たちと夕食会に参加したときなど、今までになく親しく、授業の内容を超えた様々な話をすることができた。こういう純粋なコミュニケーションの場というのは、もっと早い段階に一度持ってもいいように思う(同志社側でウェルカムパーティーを主催していただいたが、人数が多すぎたのであまり関わることができなかった)。グループ毎に個別に集まって作業をする際も、スタンフォード大学生のいろいろな側面が見えて面白かった。短い期間なので、こういった機会は貴重だし大切にしたい。この講義を取って終わるのではなく、最終的にこれからも続いていくような関係が築けることが重要だと思うので、授業の内容理解と同じくらいスタンフォード大生との交流も大切にした。
やはり聴講生にとっては自分の専門の勉強とこちらの講義との兼ね合いが一番の課題だと思う。何度かフィールドトリップなども企画されていたが、専門のセミナーなどと重なり行くことができなかったのは残念だった。しかし、同時にスタンフォード大学生と同等の課題をこなさなければこの授業を取ることの意義は半減してしまうようにも思う。そこは各人のマネジメント能力が問われるところでもあるが、他の解決策としては、本業の授業が休みである夏休み、春休み等に開講していただくことが挙げられる。(理M1)
- この授業を取るにあたって特別に音や音楽に関する知識は持ち合わせていなかった。京都は古都ということで、普段大学生活を送っているだけでは気がつかない京都特有の音を発見できるのではないか、という思いを持って受講を希望した。実際はそういった授業の内容ではなかったが、iPodやStarbucksといったかなり身近な話題も扱っており興味深かった。受講日は火曜日の15時から2コマ連続、ゴールデンウィークを挟んで10週間だった。授業の内容は概ね以下のようであった。まず、音に関する論文をReading Assignmentとして予め読んでおき、授業では数人がその論文の要約やそれについての意見を述べる。そして、先生が調整役となって受講者の色々な意見を聞いていくのである。Reading Assignmentは20~40ページくらいの事が多かった。一度Stanfordの学生に聞いてみたが、人文系科目の授業としては標準的な量ということだった。Reading Assignmentの内容はかなり難しいものが多かった。一つには私の語彙が圧倒的に足りなかったということだが、それを除いてもかなり難しかったように思う。幸い4回生の前期に受講していたということで時間的な余裕が比較的あり、課題が読み終わらないということはなかったが、1週間のうち相当な時間をこれに取られたことは事実だ。SCTI学生との交流に関しては、SCTIの学生同士は互いに知っていたようであり最初は疎外感があったが、Final Projectに向けてグループで取り組んでいく中で解消されていった。この講義に試験はなく、提出物は中間レポートが1つと最後のグループでの音の作成だった。講義が終了するのが6月中旬であり京都大学の講義と被っていない事、個人的には院試とも離れていることがSCTI春学期を受講する良い点であると思う。Field Tripで嵐山にいく機会が一度あったのだが、たまたま体調が悪く参加できなかったことが一つ残念だった。(工B4)