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連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」のシリーズ24は、「時を知る」をテーマに東京オフィスで開催しました。
シリーズ24の第4回は、「物理学における時間」と題し、佐々真一 理学研究科教授が講演を行いました。
佐々教授は、「時間」について子どもの頃に思っていたこと、高校や大学で学び考えてきたことに触れ、物理学で扱う時間として、特殊相対性理論のウラシマ効果、一般相対性理論の重力場での時間の遅れなどを概説しました。さらに、熱力学で粒子の乱雑さをあらわすエントロピーという量は、基本的に非対称で不可逆な性質を持ち、これを時間には向きがある「時間の矢」との関わりで詳しく説明しました。そして、時間の矢に関わる近年の発展として、ゆらぎの定理について言及し、自身の最新の研究であるエントロピーと時間の非一様推進に関する対称性の関係を紹介し、今後の物理学における時間、重力、熱力学の新しい展開への期待を示しました。来場者からは、「熱力学というのは完成された学問であると思っていたので、ゆらぎの定理のような新しい分野が開かれているのに驚いた。」という意見が寄せられる等、新たな研究内容に触れる機会となりました。また、講演中にも積極的に質疑応答が繰り広げられ、盛況な内容となりました。