※ 関連リンクを追加しました。(2016年10月13日)
京大おもろトークは、本学の教職員・研究者・学生達による芸術分野の「おもしろい」発想(独創的な研究)と国内外の「おもしろい」文化芸術家(特徴ある活動をされている著名な文化芸術家)との意見交換の場をつくり、文化芸術との連携を本学から発信するものです。
今回は、「顔」をテーマとして、外部からは金剛永謹 氏(能楽金剛流二十六世宗家)、漫画家の牧野圭一 公益社団法人日本漫画家協会理事、学内からは川嶋宏彰 情報学研究科准教授が講演を行いました。講演後に山極壽一 総長、土佐尚子 学術情報メディアセンター教授が加わって、全体トークと質疑応答が行われ、学内外から約300名の参加がありました。
まず、金剛氏が、顔表情がどのように能面に表現されているかをテーマに講演をしました。実際に「小面」と「般若」の能面を持参し、それらを用いて能面には人間の複数の顔表情が同時に表現されていること、そのため見る角度などによって複数の表情が表現されることなどを説明しました。次に、牧野理事が、漫画において顔表情がどのように表現されているかに関して講演をしました。漫画家でもある牧野理事は、実際に白板に漫画を描きながら、人間同士のコミュニケーションにとって顔がいかに重要な役割を果たしているかを説明しました。川嶋准教授は、顔表情の認識を研究している情報科学研究者として、コンピュータを用いて認識を行うときに顔表情のどのような特徴を用いて認識を行うのかに関して講演をしました。
全体トークでは、3名の講演者に山極総長、土佐教授が加わり、講演内容を発展させた議論を行いました。まず能を対象にして、能面が室町時代以降変わっていないことの理由や異なる表情が一つの能面に凝縮されていることの理由などの議論が行われました。次に漫画の世界における表現の問題へと議論が発展し、漫画の世界では表現のタブーがないことが受け取り側の咀嚼能力向上を促し、それが世界で受け入れられているクールジャパンへ繋がっていることなどの議論が行われました。顔表情の認識に関しては、複合感情の認識法、漫画の表情の認識法、日本人とアフリカ人で表情認識の難しさが違うのかなどの議論が行われました。熱の入ったディスカッションに会場は大変盛り上がりました。
参加者からは、「大変興味深い講演・議論であった」、「身近な私たちの顔に関して色々と考えるいい機会になった」、「今後もぜひ京大おもろトークを継続してほしい」などの感想が寄せられました。
関連リンク
京都大学オープンコースウェアにて講演映像を公開しています。