沼⽥圭司 ⼯学研究科教授(理化学研究所チームリーダー)、アンドレス・アリ・マライ 理化学研究所研究員、荒川和晴 慶應義塾⼤学准教授らの研究グループは、クモの牽引⽷の階層構造を⼈⼯的に再現することに初めて成功しました。
クモの牽引⽷は、その軽量かつ強靭な物性から、⾼強度構造材料など幅広い分野への応⽤が期待されていますが、その紡⽷機構はまだ明らかになっていません。
今回、本研究グループは、クモの牽引⽷を構成するシルクタンパク質の分⼦機構を明らかにし、シルクタンパク質が「液液相分離」という挙動を経由し、網⽬状の微⼩な繊維(マイクロフィブリル)を形成することを⽰しました。さらに、マイクロフィブリルにせん断応⼒を加えることで、マイクロフィブリルが束状に集まった牽引⽷と同様の階層構造を再現することに成功しました。
本研究成果は、天然のクモ⽷と同様の構造と物性を⽰す⽷を⼈⼯的に合成する技術開発の⽷⼝になると期待できます。
本研究成果は、2020年11月5日に、国際学術誌「Science Advances」に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1126/sciadv.abb6030
【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/255883
Ali D. Malay, Takehiro Suzuki, Takuya Katashima, Nobuaki Kono, Kazuharu Arakawa and Keiji Numata (2020). Spider silk self-assembly via modular liquid-liquid phase separation and nanofibrillation. Science Advances, 6(45):eabb6030.